フダンソウ |
「あら、ご主人は?こんな時間まで残業?」 「ううん、近くの公園まで、ジョギングと体操。」 「ふだんそうなの?」 「うんにゃ、昨日からよ、どうせまた三日坊主だと思うわ。」 ンスナバーの和名がフダンソウであることを知った時、「いつでもどこにでも生えるから普段草という名前なのかな」と私は思ったが、フダンソウのフダンは「ふだんそうなの?」といった場合などに用いられる「普段」では無かった。 「あんたのダイエットに私はちっとも期待していないよって言ってやったらさ、いやいや、今度は今までと違うぞ、ビール腹を引っ込めるには不断の努力が必要だと気付いたんだ、ってさ。不断の努力ならさ、食事やビールの量を減らせばいいのにさ。」 フダンソウのフダンは「不断の努力」の不断。「絶え間の無いこと」という意味。 フダンソウ(不断草):葉菜 アカザ科の一・二年草 南ヨーロッパ原産 方言名:ンスナバー 名前の由来、不断草という表記は広辞苑にあり、その字の通り「四季いつでも食用にできるのでこの名がある」とのこと。『沖縄園芸植物大図鑑』にも「葉をとって1年中利用できることから名付けられた」とあった。方言名のンスナバーについては、その由来は不明。ただ、ンスナバーと沖縄独特の名前があることから、沖縄でも古くから利用されてきたであろうと想像できる。ンスナバーという名前は私も知っていた。 高さ100〜150センチにまでなる大型の葉野菜。沖縄では食用にもしたが、家畜の飼料にも使われてきた。食べると多少のえぐみがある。同じアカザ科にホウレンソウやビートがあるが、そういえばホウレンソウやビートも泥臭さがある。 赤茎種と白茎種があり、県内での栽培は白茎種が多いとのこと。在来種は涼しい気候に適し、秋から春にかけての栽培、洋種系白茎種は周年栽培とのこと。 下葉から順次摘み取って食用にする。サトウダイコン(テンサイ)は本種の変種と広辞苑にあった。花は黄緑色で、小花を穂状につける。開花期は初夏。 |
記:島乃ガジ丸 2013.3.19 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 |