ハッカ(ミント)
 『沖縄の食べられる野草』といったような名前の本を昔(20年ほど前)持っていた。名前を正確に覚えていないのは、買ってすぐに人に貸して、以来ずっと戻ってきていないからだ。誰に貸したのかもはっきり覚えていない。
 その本、1度パラパラとページを捲って目を通しただけなので、その内容もまた、はっきり覚えていない。ただ、たいていの野草は天麩羅にして食べると美味しいということだけは記憶に残っている。とりあえず、高温で熱せばいいんだなと理解した。
 昨年の12月から今年の5月までの半年間、新聞を取っていた。年末にその新聞社のカレンダーを貰った。カレンダーには月ごとに沖縄の薬草・野草のレシピがだいたい2種ずつ載っている。その新聞社(沖縄タイムスという地元紙)はまた、親切なことに、カレンダーに載っている1年分の薬草・野草料理をまとめた小冊子も配布してくれた。食べられるものなら野草も食べたいと思っている人がその編集部にはいるようである。
 私は、わざわざ野草を食べようなどとは思っていない。わけ(災害とか戦争とか)あって、普通に食料が手に入らなかった場合のことを考えて、食える野草は知識としてだけでも頭に入れておこうと思ってのこと。そんな”わけ”が来ないことを祈っている。

 小冊子『沖縄の薬草・野草』の最後のページには、ミントが紹介されている。ミントが沖縄の薬草・野草に含まれるのかということについて疑問を持ったのだが、調べると、ミントとはハッカのことで、ハッカは自生があるとのこと。

 ハッカ(薄荷):香辛料
 シソ科の多年草 原産分布は日本、方言名:ハッカ
 ハッカという名前の由来は不明だが、私が子供の頃はよく耳にした言葉。口に入れるとスースーするものということでしっかり覚えている。最近ではミントという名前の方をよく聞く。ニホンハッカもミントの一種で、他にペパーミント(西洋ハッカ)、スペアミント(オランダハッカ)などがその仲間にある。
 日本の山地に自生があり、古くから香料植物として栽培されている。ハッカ入りの飴玉など、お菓子に使われていて、私も子供の頃よく口にしている。
 ハッカからは薄荷油が精製され、これが香りやスースーの元となっている。薄荷油にはまた、薄荷脳という成分が含まれていて、これが実はメントールのこと。
 夏から秋にかけて淡紅紫色の花を咲かせる。シソ科の植物らしい唇形の花。葉からは特に薄荷油に精製しなくても強い香りが漂ってくる。
 生育が旺盛で、畑に1株植えただけで、放っておくと一面に広がってしまい煩い。料理としての使い道は限られているので、たくさんのハッカは邪魔になる。なわけで、私は私の畑にハッカを植えない。私はそうであるが、1階のKさんが自分の持分の畑に1株植えてある。でも、「そのうちどんどん広がるぜ、何に使うつもりだ?」と心配するには及ばない。ハッカは食材として用いる他、香料、薬用、入浴剤にも使われるそうだ。

 スペアミント

 スペアミントの花
 記:島乃ガジ丸 2006.11.26  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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