ダイジョ
 ダイジョとはヤマイモのこと。『沖縄大百科辞典』でヤマイモをひくと、「ヤマノイモ科ヤマノイモ属の総称。」とある。ということは、あの、細長い、スーパーでよく見るナガイモ、ヤマトイモなどのことである。同書にはまた、「沖縄で一般にヤマイモと称されるものはダイジョ」とあって、ダイジョもヤマノイモ科ヤマノイモ属とのこと。
 沖縄のヤマイモの存在は、どこかの村でヤマヌイモスーブ(山芋勝負、ヤマイモの大きさを競う)というのがあって、それがテレビのニュースで放送されるので、私も若い頃から知ってはいる。が、実物を見たことは無かった。
 テレビからの情報で、「大きい、ずんぐりしている、表面が黒っぽい(黒褐色)。」ということを知っている。私がよく口にしている倭国のナガイモとは見た目がまるっきり違う。なので、同じ名前の別の植物だと思っていたが、同科同属であった。

 『沖縄園芸百科』によると「塊茎は年数が経つにつれて大きくなり、30キロを越すものもある」とのことだが、ヤマヌイモスーブでは100キロを越すものがざらに出てくるらしい。その大きさで、もしも長期保存が可能なら、浮浪者の食料として相当役に立つに違いない。私が貰ったものは2キロ半あった。それでも十分過ぎる量であった。

 ダイジョ(大薯):根菜)
 ヤマノイモ科の蔓性多年草 インド、インドシナ半島原産 方言名:オージャマン
 『沖縄大百科辞典』によると、「沖縄で一般にヤマイモと称されるものはダイジョ」とある。ヤマイモは「ヤマノイモ科ヤマノイモ属の総称」で、ダイジョもその一つ。「30キロを越すものもある」(同書)と大きいことからダイ(大)がつく。
 ヤマイモというとナガイモが一般的だが、ジネンジョ(自然薯)という名もよく聞く。ジネンジョは「栽培されているナガイモに対して、自生しているヤマノイモの称」(広辞苑)とのこと。ダイジョはジネンジョでもあるが、栽培もされている。
 沖縄では中北部で多く栽培されているとのこと。だが、おそらく栽培面積も生産量もあまり多くはないと思われる。スーパーで販売されているのをあまり見ない。近所の地産地消コーナーのあるスーパーで時々見かける程度。
 『沖縄大百科辞典』のダイジョの項には、「イモの形は品種によって異なり、円柱形、塊形、扇形などある。肉色は白、淡紅、赤紫色など。沖縄で栽培されている品種は扇いもが多く、そのほか棒いも、紅いも・・・・などがある。」とあり、『沖縄園芸百科』には「塊茎に紫色と緑色の2系統がある。紫色系の塊茎には塊状と棒状のものがあり、」とあった。自然は様々な色形を生むのだろう。私が貰ったものは塊状で、肉色は白。
 沖縄では古くから冠婚葬祭用の料理に用いられるとのこと。また、日常でも、煮物やとろろで食し、お菓子の原料としても使われるとのこと。

 収穫
 記:島乃ガジ丸 2009.3.21  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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