ボルトジンユ
 2013年5月、私のブログを読んでくださっている方からメールがあった。内容は高血圧に効く薬草に関することで、彼女のブログのアドレスが記載されていて、そこを覗くと、薬草のポルトジュンのことが書かれてあった。「高血圧に効く」とのこと。
 2013年5月というと、前月4月から血圧が140〜150台と高くなっていて気になっている頃で、そのことをブログに書いたので、それを読んで親切にもアドバイスをくれたのであった。その頃はまた、前年(2012年)夏から始めた300坪の畑から作物もボチボチ収穫できていて、「よっしゃ!自給自足で生きていけそうだぞ」と気合が入っている頃で、自分の生き方に自信を持ち有頂天になっている頃でもあった。

 それから5年も過ぎた今年6月、2013年5月にメールをくださった方、今ではブログの相互読者となっているコスモス(ハンドルネーム)さんとメールのやりとりをするようになった。コスモスさんはハーブや薬草に詳しく、いろいろ教わっている。
 彼女の言うポルトジュン、薬効に優れているらしいが、図書館の大きな図鑑にもその名前では載っていない。ネットで調べると、現在ではボルトジンユという流通名になっているようだが、名前については錯綜している。似たような薬草マンジェリコンと混同されている。「これはこれである」と判断するのに大事な学名も錯綜している。
     
 ではあるが、コスモスさんによるボルトジンユとマンジェリコンの判別の仕方、今回新しく参考文献に加えた『琉球薬草誌』による両者の説明を読んで、正確ではないけれど、だいたい「これはボルトジンユ、これはマンジェリコン」というのが判ってきた。
 名前が正確かどうかは置いといて、少なくとも沖縄ではそう呼ばれていて流通しているようである。ということで、両者とも流通名ということで紹介する。
 
 ボルトジンユ(ぼるとじんゆ):薬草
 シソ科の多年草 アフリカ東部のエチオピアからタンザニアの原産 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く不明。ボルトジンユ、きっと日本語ではない、原産地の呼び名であろうと思われる。今回新たに参考文献に加えた『琉球薬草誌』に「和名はプレクトランツス・オルナツスとあったが、これは学名のPlectranthus ornatusから。
 他の文献に本種の記載はなく、『琉球薬草誌』でやっと見つけた。同書は最近2015年の発行。「多年草で沖縄にも自生している」と同書にあったが、元々あったわけではなく、移入された栽培種が逸出し、野生化したのだと思われる。
 図鑑に記載されるようになったのは最近かもしれないが、入ってきたのはずっと前であろう。私の写真は2007年、沖縄県宜野湾市で撮ったもの。
 以下はほぼ『琉球薬草誌』からの情報であるが、
 「茎の基部からよく分枝し、高さ30センチ程になる、葉には特異な臭気がある」
 「シソ科らしい形の花は藤色で、開花期は春〜夏」
 「インスリンの分泌、血糖値を抑える効果があり、糖尿病や高血圧に効果がある」
 「乾燥させた葉を煎じて服用する」とのこと。
 「葉の特異な臭気」については、確かに「臭い」と感じるが、私は我慢できないほどでは無い。ただ、畑にボルトジンユを植えていた先輩農夫Nさんは「臭いので全部抜きとった」と言っていた。生命力が強く、Nさんが抜き取ったものも長く生きていた。 
 花
 
 葉
 記:島乃ガジ丸 2018.10.16  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 
inserted by FC2 system