パパイア
 20年ほども前のことだったか、母の友人である台湾人のRさんに、
 「このパパイアはフルーツパパイアで、とても美味しいと台湾で評判になっている。植えてみたら。」と勧められて、種を数粒貰った。
 パパイアには主に野菜として用いるパパイアと、完熟して甘くなってから食すフルーツパパイアとがある。野菜として用いるパパイアも完熟させれば甘くなる。マンゴーには遠く及ばないが、まあまあ美味しい。フルーツパパイアは、フルーツパパイアだと認識して食べた覚えがないので、美味しいのかどうなのか私は知らないが、Rさんがくれた種のパパイアは、Rさんの話によるとマンゴーにも負けない風味を持っているとのことだった。
 そのパパイアの種、親戚の家の空地に植えた。何粒だったか忘れたが、その内、芽が出たのは1粒。その芽はその後順調に生育し、高さ3mほどまでになり、いくつもの花をつけた。花が咲いたならば実ももうすぐだと期待したのだが、実はついに生らなかった。親戚の人曰く、「パパヤはオスメスあるからねぇ。1株だけでは難しいねぇ。」とのこと。
 1株だけのパパイア、3mに達し花を付けたその翌年、台風の被害にあって、枯れた。台湾人のRさんがわざわざ台湾から持ってきてくれたパパイアではあったが、その実の美味さを実証することは叶わなかった。残念であろうが、食えなかった私も残念。
 野菜としてのパパイアはたまに食べている。味も食感も良い。スーパーの惣菜としても売られている。市販の弁当のおかずにも使われる。主な料理法はチャンプルーだが、たぶん、試したことは無いが、天ぷらにしても美味しいような気がする。

 パパイア(蕃瓜樹):果樹
 パパヤ科の草本性常緑高木。原産分布は熱帯アメリカ。方言名:パパヤ
 草本性(文献には半木性ともある)なのだが、種類によっては高さ10mにも達する。
 『沖縄園芸百科』によると和名はモモクワとある。子供の頃からよく知っている植物なのに、その和名は今回調べて初めて知った。方言名のパパヤ(パパヤーと語尾を伸ばすこともある)は科名のパパヤからきているのだろうが、テレビなどではパパイヤと発音されるのをよく聞く。学名のpapayaが、文字を見るとパパヤだが、発音がパパイヤと聞こえるのだろう。『沖縄大百科事典』にはパパイヤと表記されている。広辞苑ではパパイアとあったので、ここでは広辞苑の表記をとった。広辞苑にはまた、漢字で蕃瓜樹ともあった。
 草本性(幹の組織が柔らかい)で、丈が高く(沖縄でよく見かけるものは3〜4m)、根の張りも弱いので、台風時における被害が大きい。塩害も受けやすく、また、病害虫にも弱い。よって、農作物としては産業になりにくいようだ。スーパーにも加工(チャンプルー用として切られた)されたものは時々見るが、パパヤそのものはあまり見ない。
 陽光のあまり当たらないところでも育ち、実を付けてくれるので、家の裏庭(昔は“離れ便所”の傍など)に植えられたりしている。種もよく発芽する。

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2005.2.18  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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