オオフトモモ
 今年の1月に高校1年のクラス会があった。同じクラス会が去年の1月にもあって、それが楽しかったもんだから今年もやろうということになり、20人近くが集まった。みんな名前がすぐに思い出せる人ばかり、まるで、ついこの間卒業したみたいに名前を呼び合い、「やあ、生きていたか」などと挨拶を交わす。一夜、楽しく語り合えた。
 去年のクラス会は初回ということもあり、参加者は今年より多かった。その中には卒業以来という人も数人いた。それでも昔とほとんど変らず、すぐに誰それと判る人が何人かいたし、多くは、変貌はしていたが雰囲気が昔のままで、少しすると名前が出てきた。しかし、中には、まったく別人のようになっている人もいた。「はい、久しぶりね」と言われて、「誰だ?お前」と問い返す。体型が激変したせいで人相まで変ったのである。
 今年は参加しなかったが、体型が激変した何人かの内の1人に、今でもちょくちょく会っている友人のE子がいる。私は彼女の変化を徐々に味わっているので、いつもの見慣れたE子なのだが、久しぶりの人にとっては、横幅が2倍に激変したE子なのであった。
 そのE子、昔から明るい性格で人気者であった。その夜の席上でも、「ねえ、E子は来ないの?電話してよ。来るように言ってよ。」と何人かから要請された。
 「用事があるみたいだよ。しかし、なんでそんなに人気者なんだ。」
 「E子が来ないとK子も行かないと言っているのよ。」とT子が言う。そういえば彼女はさっきから何度も電話をしていた。K子に、「来るように」と催促していたのだ。
 「なんでE子が来ないとK子も来ないのだ。」と訊くと
 「E子がいないとK子一人がすごく目立ってしまうから嫌なんだって。」と答える。
 T子による再三の催促に重い腰(心身ともに)を上げ、やっとやって来たK子は、E子同様、卒業後に激変した中の一人。横幅が2倍になっている。二人の太り方には少し違いがある。E子は元が筋肉質なので、肩幅も広く、胸も腹もお尻も同じように肉と脂肪が付いていて、全体的には樽型の体型をしている。K子の場合は、筋肉よりも脂肪の方がはるかに多いみたいで、全体的には、一般的に洋梨型といわれている体型である。

 オオフトモモの果実は、洋梨(ラ・フランス)をもう少し上下に潰した形。トイレから戻って、畳間に座っているK子の後姿を見た。彼女のお尻から上の形は、オオフトモモの果実にそっくりなのであった。「オオフトモモ」と私は密かに呟き、それから「大太腿」を連想し、さらに、「臀部(でんぶ:お尻のこと)」を連想した。
 まったく、オオフトモモは失礼な果実なのだ。太った女性の心を傷つける。大太腿だけでも失礼なのにその別名をレンブと言う。ちなみに、K子の名誉のために付け加えておくが、横幅が広くなったとはいえ、カワイイという点では昔とちっとも変らない。 
 オオフトモモ(大蒲桃):果樹・添景
 フトモモ科の常緑高木。原産分布はマレーシア。方言名:無し
 高さ10mを越える。だから、“オオ”がつくのかどうかは不明。オオフトモモよりもレンブという名の方がよく知られている。英語名はMountain apple。
 「果実はリンゴに似た味で甘くは無いと」文献にあるが、何年か前に1度口にした時の私の感覚では無味。「サラダとして食される」とも書かれてあって、なるほど、ドレッシングで味付けするなら美味しく食べられそうな気はする。結実期は5月から8月。

 実1

 実2 下から見るとケツの穴が見える。
 記:島乃ガジ丸 2005.4.8  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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