モモ
 「すもももももももものうち」と声を出しても、多少引っかかるが、言えなくは無い。おそらく多くの人が私と同じように感じていると思う。よって、「すもももももももものうち」は子供の頃、これは早口言葉だと教えられたが、そうでは無いのであろう。ところが、これをウチナーグチ発音にすると、とたんに口が回らなくなる。スモモをウチナーグチ発音で言うとスムム、モモはムム。で、「すむむむむむむむむぬうち」と声を出してみる。4番目か5番目の「む」で早くも、私はかんでしまう。皆はどうなのだろうか。
 「ムムウイアングヮー(桃売り姉さん)」という琉球民謡がある。男女掛合いの唄。
 桃を売って布を買ったので、それで着物を縫い、恋人に着て貰う。
 この着物をアナタにあげるから、これからはもう、他所で遊ばないでね。
 これからはもう、他所では遊ばないよ。俺たち結婚しよう。
といった内容。
 ところで、ここに出てくる桃はムムと発音し、一般に言う桃を指しているのでは無い。実は、沖縄にも桃はあるが、倭国で生産される水蜜桃のようなジューシーで甘い品種のものでは無い。沖縄の桃は果物としては人気が無く、スーパーに並ぶことも無い。ムムとウチナーグチ(沖縄口)で発音される果物は、実はヤマモモのことを言っている。
 沖縄では、ヤマモモより美味しいモモ(ウチナーグチでキームムと言う)は無いようなのである。私もこれまでの人生で、沖縄産モモを食した経験は無い。しかしながら、モモは私の好物で、今の時期、主に山形産、岡山産などを口にする機会はすごく多い。

 モモ(桃):果樹・添景
 バラ科サクラ属の落葉中木 原産は中国 方言名:キームム、トームン
 バラ科サクラ属のウメ、サクラ、そしてこのモモと、いずれも樹形良く、花はきれいで果実は美味しい。スタイルが良くて、美人で性格も良い(美味しいは、ここでは性格が良いに喩える。むろん、他にも喩えられる)三拍子そろった女性のようなものである。
 水蜜桃という名前が私の子供の頃の記憶に、とても美味しいモモとあって、それを今回調べたら。水蜜桃はモモの一品種で、それまでのモモより一段美味いものであったが、そこからさらに品種改良され、今日ある美味しいモモが生まれたようだ。
 モモもまた、多くの品種があるようだが、沖縄には少ない。沖縄に昔からある、方言でキームムと呼ばれるものは甘みが少なく酸味が多いとのことである。桃の節句に用いられる花は淡紅、あるいは白色で4月に咲く。結実期は6月から7月。

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2005.8.9  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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