マンゴスチン
 よく通っている八百屋へ行くと、レジの傍に籠があり、その中にマンゴーがいくつも入っていて、値段が300円となっていた。通常の棚に並んでいるそれと同等の大きさのものに比べると半額だ。黒い斑点が所々付いていることもあり、レジの女の子に「痛んでいるから安売りなの?」と訊くと、彼女はニッコリ笑って「今が食べ頃です」と答えた。触手が少し動いたが、「いやいや、半額とはいえ贅沢品だ」と思い、手を引く。

 その後、家に帰ってパソコンに溜めこんでいた植物の写真の整理をした。何者か判明はしているけどブログにはまだアップしていない植物を主に点検する。最近勉強している薬草ハーブの類が多くある、その他草本類、木本類など、ざっと数えて100種は超える。キノコ類やサボテン類も数種ずつある。果樹フォルダにも果樹が数種ある。グミ、オリーブ、タイワンナツメ、マンゴスチンなどだが、その写真を見ながらそれぞれの写真を撮った場所を思い出す。いずれもちゃんと覚えていた。「俺の脳はまだ大丈夫」と安心。

 マンゴスチンは観光地の玉泉洞で撮っている。2012年6月のこと。埼玉のKと彼の同僚が1人一緒だった。その時、果実はまだ熟しておらず、園内でマンゴスチンの販売もしておらず、果物の女王と呼ばれるマンゴスチンを食べることはできなかった。
 などということを思い出していたら、「いや、マンゴスチン、俺は買ったことあるぞ」と思い出し、パソコンの中の「判明写真」フォルダの子フォルダ「飲食」を開く。テーブルの上に置かれた熟したマンゴスチンがあった。写真の日付は2005年6月。
 写真は確かに当時住んでいたアパートの、当時使っていたテーブルであり、その上に置かれたマンゴスチン。「勿体無い精神」を持つ私なのでこれを食べずに捨てることはないと思うが、食べたかどうか覚えていない。皮を剥いたのも覚えていない、皮を剥いた中味の姿も覚えていない。匂いも味も覚えていない。「俺の脳は大丈夫か?」と少し不安。

 
 マンゴスチン(mangosteen):果樹
 オトギリソウ科の常緑高木 マレーシア・インドネシア原産 方言名:なし
 名前の由来、マンゴスチンは広辞苑にmangosteenと英文字表記があり、mangosteenはマレー語のmangustanから来ているようである。
 高さは6〜10m。雌雄異株で、雄株はほとんど無く、雌株だけで結実する。雌花は枝の先に1つずつ着き、花弁は淡紅色。開花期及び結実期については資料が無く不明。玉泉洞ではハウスの中で結実していたが、6月であった。
 果実は直径4〜8センチの球形、赤黒色に熟す。果皮を剥くと果肉は白く、中で5〜7個に分かれている。果肉は生食でき、ジューシーで柔らかく、アイスクリームのような食感。甘みとかすかな酸味があり美味。風味はデリケートで収穫後3日目には品質が低下するとのこと。「沖縄での栽培は困難」とあったが、ハウス栽培されていた。
 同じく熱帯果樹のドリアンが果物の王様と言われているが、マンゴスチンは果物の女王と呼ばれている。ただ、王様のドリアンは特異で強烈な匂いだが、女王のマンゴスチンは上品な甘みで芳香がある。果皮はインド更紗の染料の原料となるとのこと。
 
 未熟果
 
 完熟果
 記:島乃ガジ丸 2018.8.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 
inserted by FC2 system