コーヒーノキ
 中学から高校にかけて、違いの判る男のインスタントコーヒーを飲んでいた私は、高校三年の時には、友人(誰だったか忘れたが)の影響でレギュラーコーヒーを飲むようになり、手動のコーヒーミルまでも買ってコーヒー通ぶっていた。
 コーヒー通ぶっていた少年はしかし、生来の面倒臭がり屋でもあった。面倒な手動のコーヒーミルは、親に頭を下げてまで頼んで買ってもらったのにも関わらず1ヶ月も使ったかどうか。すぐに、ただの飾り物に成り果ててしまっていた。それ以降は挽かれた豆を買って、ドリップで飲んでいる。そうやって長い年月が経った。
 去年のこと。高校3年のクラス会があって、久しぶりに顔を合わせた中の1人が喫茶店をやっていることを知った。それからしばらくしてその喫茶店を訪ねた。昔話をしつつコーヒーを頼み、昔話に笑いながらコーヒーを飲む。ほぼ毎日、家で市販の挽かれたレギュラーコーヒーを飲んでいる私は、彼の入れてくれたコーヒーに少し感動した。旨いのだ。
 「俺が入れるのとだいぶ味が違うが、やはり挽き立てだからなの?」
 「焙煎した豆が新鮮であることも大事だが、挽き立てとそうでないものとはすぐに差が出る。それから、入れ方、お湯の注ぎ方によっても味に違いが出るよ。」
 「豆が新鮮かどうかは限度があるが、挽き立ては、ミルを買って、飲む直前に自分で挽けばいいよね。入れ方は、教えてくれ。」
 その日その場で、私は彼にお湯の注ぎ方などを教えてもらい、それからコーヒーミルを注文した。手動は面倒なので、電動コーヒーミルを頼んだ。電動コーヒーミルは2週間後に届き、以来、それまでよりも旨いコーヒーを私は楽しんでいる。彼が入れてくれたコーヒーより今一劣るのは、入れ方が悪いのだろう。もう少し修行が必要なようだ。

 コーヒー豆は沖縄でも収穫できる。何年前だったか自家栽培のコーヒーを飲ませてくれる喫茶店の話が新聞で紹介されていた。私の職場にも高さ3mくらいのコーヒーの木があり、毎年たくさんの実を付けてくれる。干したり、皮剥いたり、焙煎したりが面倒そうなので、今までその実を収穫したことは無いが、今年は挑戦してみようかと思っている。
 コーヒーノキは観葉植物として人気があるようだが、沖縄では地植えにできる、庭の添景樹としても十分に役立つ。白い花がたくさん咲き、実もいっぱい付ける。

 コーヒーノキ(珈琲の樹):果樹・添景・鉢物
 アカネ科の常緑高木。原産分布はアフリカ、熱帯・亜熱帯各地。方言名:無し
 『沖縄園芸植物大図鑑』には3種のコーヒーノキが紹介されている。アラビアコーヒーノキ、リベリアコーヒーノキ、コンゴーコーヒーノキ。リベリアは花の色が黄白色、コンゴーは葉が波打っていると特徴が書かれてある。職場のコーヒーノキは花が白で葉は波打っていない。しかも、世界生産量の90%をアラビアが占めるということから、職場のものはアラビアコーヒーであるといっていいだろう。
 高さは3mくらい、花は白色で芳香を持つ。結実期は8月から9月。

 実

 種
 記:島乃ガジ丸 2005.5.1  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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