テリハバンジロウ
 2年前(2007年)の9月のある日、現場仕事に出た。現場は南城市のある町、そこのある民家にビワのような色をした実を付けている木があった。
 近寄って、よく見ると、実の形はビワではなくフトモモのそれに近い。色はともかく、フトモモ科のバンジロウにも似ている。そういえば、葉はほぼバンジロウ。
 「あっ、これがもしかしてストロベリーグヮバっていうやつか?」と思って、写真を撮る。ストロベリーグヮバは以前、職場の庭にあって、何度か目にしており、一度はその実を食べたこともあるのだが、以前というのは私が入社した頃、もう20年以上も前の以前なので、はっきりとは記憶に残っていない。その後2、3年で消えて、今も無い。
 後日、図鑑で調べると、ストロベリーグヮバは和名をテリハバンジロウと言い、実は熟すると赤紫色になるとあった。私が見た黄色い実のものはテリハバンジロウの1品種で同じくストロベリーグヮバなのだが、和名はキミノバンジロウとなっている。
 学名は、
 バンジロウPsidium guajava L.
 テリハバンジロウPsidium cattleianum Sabine
 キミノバンジロウPsidium cattleianum Sabine f. lucidum Degener
となっていて、テリハバンジロウとキミノバンジロウはほぼ一緒。

 テリハバンジロウ(照葉蕃石榴):果樹・庭園
 フトモモ科の常緑中木 ブラジル原産 方言名:なし
 バンジロウの名前の由来は不明。沖縄名のバンシルーが元になっているかもしれない。漢字の蕃石榴、石榴はザクロ、蕃という字は外国という意、外国から来たザクロに似たものということだろう。本種は葉の照りが特に目立つことからテリハ(照葉)と付く。
 バンジロウは別名のグヮバで有名。本種の別名もイチゴグァバ、またはストロベリーグァバという。これは英語名Strawberry Guavaから。果実がイチゴに似た香りということから。英語名はCherry Guavaともあり、人によってはチェリーの香りなのだろう。
 高さは6〜8mに留まり、自然に整った形になるので庭木としても使いよい。
 果実は熟すと赤紫色になる。径3〜4センチと小さいが、甘く、イチゴのような香りがあり美味しい。種が多く、ちょっと食べ辛いのはバンジロウと一緒。生食の他、ジャムやゼリーなどに利用される。収穫期は夏から秋。
 果実だけでなく花にも芳香がある。色は白〜淡黄色、開花期は夏。



 実

 ちなみに、近縁のキミノバンジロウ(テリハキミノバンジロウとも)。

 全体

 実

 収穫
 記:島乃ガジ丸 2009.9.19  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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