インドナツメ
 知人のKさんから「親から相続した土地がヤンバル(沖縄島北部の通称)にあって、何か植えたいのだが何がいい?」と訊かれ、果樹を調べることになった。手持ちの文献にも果樹はいくつも載っているが、詳しく調べようと宜野湾市民図書館で『熱帯の果実』という書籍を見つけ、早速借りた。家に帰って同書をパラパラ捲っていたらインドナツメという果樹が目にとまる。「これに似たようなのがあったな、確か、タイワンナツメという名前だったな」と思い出し、パソコンを開きタイワンナツメの写真を見る。似ている。で、ネットで調べる。タイワンナツメはインドナツメの別名とあった。

 写真の日付を見ると、2008年4月27日となっている。2008年4月というと母の死んだ翌年で、母が死んでから約半年後のこと。その頃、私は首里石嶺のボロアパートに住んでいて、週末は、雨でなければ散歩ばかりしていた。その日も午後、家から徒歩30分ほどの末吉公園へ散歩へ出掛けている。しかし、その写真を撮ったのは末吉公園ではなく、徒歩2分もかからないすぐ近くの小学校、その校庭。公園の散歩から帰った後、石嶺図書館へ行くため小学校の裏門から正門へ抜ける途中で撮っている。
 小学校の校庭の樹木には名札があって、タイワンナツメと名前は判明していたのだが、私が参考にしているどの文献にもタイワンナツメは記載がなく、名前は判っていても正体が不明のままで、長く紹介できずにいた。が、今回やっと『熱帯の果実』のお陰で正体が判明する。果樹であり、生食もでき、3月〜4月に熟するということも知った。
 今回紹介している果実の写真は2010年2月28日のもの、もう1〜2週間もすれば黄色く熟したかもしれない。が、熟したら黄色くなるということを知らなかったし、食えるということも知らなかったので、熟した写真も撮れず、味見もしていない。
 せっかく3月〜4月に熟する、果実は生食できるということを知ったので、来年の3月にはその小学校を訪ねてみようと思う。でもたぶん、忘れているだろうなぁ。
 
 インドナツメ(印度棗):果樹・庭園
 クロウメモドキ科の常緑中木 インド原産 方言名:なし
 名前の由来、ナツメについては『熱帯の果実』に「ナツメの名は晩春に芽をのばすため「夏芽」の意味であるという」とあった。ナツメは広辞苑にあり、棗と漢字表記され「クロウメモドキ科の落葉小高木。原産は中国とされる・・・」とのこと。本種はナツメと同科同属で、インド原産なのでインドとつく。小学校の校庭にあった本種の名札にはタイワンナツメと書かれていたが、タイワンナツメは本種の別名とのこと。
 高さは10mまでなるらしいが、私が見たものは十分成熟しているであろうと思われるものであったが5mほどに留まっていた。枝を多く出し横に広がる。
 果実はリンゴを小さくしたような形、長楕円形の品種もあるとのこと。3月から4月に黄色に熟す。熟した果実は水分の少ないリンゴのような食感とのこと。熟果は生食よりもピクルスやシャーベット、乾燥果実などに加工されるとのこと。
 ちなみに学名は、
 ナツメ Ziziphus jujuba
 インドナツメ Ziziphus mauritiana
 
 果実1 果実は3〜4月に黄色に熟する。私の写真は3枚とも2月末のもの。
 
 果実2 写真の中の果実には黄色っぽくなったのも見られる。
 記:島乃ガジ丸 2018.8.19  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
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 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 
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