ゴレンシ
 沖縄の飲食で「アテモヤ」を紹介しながら、その植物としての話はまだ書いていなかった。アテモヤは産地に行かなければ撮れないので別にしても、その親であるバンレイシは民家の庭で見かけることがある。その写真でも撮れれば紹介しようと思っていたら、先週出た現場の、すぐ近くの民家にあった。しかも実をつけていた。写真を撮った。

 ゴレンシを初めて食ったのは先々週、仕事で今帰仁村へ行ったその帰り、名護市許田にある「道の駅」へ寄った際に1個買い、数日後に食った。で、これも沖縄の飲食で紹介するつもりでいた。であるが、これもまた植物としての紹介は、ゴレンシの木の写真が撮れてからになろう。あてもないし、いつになることやらと思っていた。ところがどっこい、金曜日の職場から数軒先の民家にゴレンシの木があった。実をつけていた。
 写真に関しては、こういった幸運が今年は多くある。幸運よりも不運の多かった私の人生であるが、青春も遥か通り過ぎた今頃になって幸運が増えつつあるということなのだろうか。これが、せめて20年前なら、などと贅沢は言わない。今からでも幸運がやってくるのであれば、こんな嬉しいことはない。年末ジャンボ宝くじを買うことにしよう。

 ゴレンシ(五斂子):野菜・果物
 カタバミ科の常緑中木 熱帯アジア原産 方言名:なし
 レンの斂は、収斂(しゅうれん:収縮すること)の斂で、集めて絞るといったような意味がある。ゴレンシの果実の形は、5つのものを集めて絞った形となっている。集めて絞った形は縦に5本の稜ができ、横に切ると断面は星型になる。熟した色は黄色。
 中国、インド、東南アジアなどで大昔から栽培されていて、じつは、原産地ははっきりしないらしい。沖縄への導入時期について文献に記載は無いが、戦前には既に導入されていたようだ。栽培が容易であるにも関わらず、沖縄で営利栽培はほとんど無いと文献にはある。が、道の駅にも、近所のスーパーにも出ている。売れ出したのは最近からかも。
 品種は酸味系と甘味系に大別され、甘味系は香りも良く、多汁で美味しいとある。生食の他、料理にも用いる。私が食べたのは甘味系の方、確かに多汁で、まあまあ美味しい。食感はちょっと柔らかめの梨、味はちょっと酸っぱい梨といった感じ。桃色の花にも芳香があり、開花期は6〜9月。収穫期は7〜11月。
 別名にカランボーラとあるが、これは学名から。

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2005.12.4  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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