トックリキワタ
 パンヤ科の植物は(詳しく調べていないので、概ね)種子に綿が含まれている。トックリキワタの綿はクッションの詰め物として使われているとのこと。こういうことは女性の方が良く知っているみたいで、樹木のことを勉強し始めた若い頃、「パンヤの木って沖縄にもあるの?」と従姉に訊かれて、「パンヤ?」とパにアクセントをつけて訊き返したら、「パン屋さんの木じゃないわよ!キワタの木よ!アンタ何勉強しているのよ!」とバカにされてしまった。
 幹に鋭い棘がある。有刺鉄線に囲まれたリングで戦うレスリングがあるらしいが、トックリキワタの幹に囲まれたリングの方がもっと痛いように思う。腕を取って振り回しトックリキワタの幹に向かって投げる。投げられた方はブチ、ブチ、ブチ、ブチ、ブチ、ブチ、ブチと無数の棘が背中に突き刺さる。想像しただけで恐ろしい。その上に、ブーゲンビリアの枝で作った鞭でしばく。ガシ、ガシ、ガシ、ガシ、ガシと顔や胸を引っかかれる。それは、捕らえられたスパイが「わかった、何でもしゃべる。」と白状してしまいそうな拷問になるに違いない。

 トックリキワタ(徳利木綿):街路公園樹
 パンヤ科の落葉高木。分布は南米。方言名:無し
 成長が早く、大木になり、幹周りもよく太る。文献には街路樹に良いと書かれているが、根が張り出して歩道の舗装面を破壊することがあるので、公園樹に専念させた方がいいのではないかと私は思う。で、当然、庭木にも向かない。大きくなり過ぎて庭全体の景色の邪魔になる。大邸宅の広い芝庭にぽつんとあると、良い景色かもしれない。
 トックリという名は、幹の真ん中辺りが根元より太く、徳利の形に似ているところからきている。同じような意味で、トックリヤシという名のヤシノキもある。
 花期は9〜12月。樹冠いっぱいに桃色の花を付ける。那覇市の神原中学校の川沿いに列植されていて、花の盛りの頃は見事な景色を見せてくれる。

 花

 実

 綿1

 綿2

 写真追加(2005.10.7)
 記:島乃ガジ丸 2004.11.19  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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