タイワンケヤキ
 武蔵野の自然が幾分かは残っているところへ、私の通う大学はあった。5年も通った大学ではあったが、私の愛着は大学にはあまり無い。大学からのお知らせが時々来るが、読んだことも無い。同窓会のお知らせなどもたまにあるが、出席する気は全然無い。
 大学に対してはそうだが、大学の周りの自然や、歴史のありそうな大学の建物は好きであった。また、緑の多いキャンパスの雰囲気も好きであった。
 緑の中で、特に目立っていたのは大きな欅。校門の内外に並ぶ欅の並木は見事な景色となっていた。樹齢何年かは知らないが、1本1本がみな大木で、幹周りは3〜4m、高さは3、40mもあっただろうか。そんな大きな樹木が両サイドに並んでいた。真っ直ぐに伸びて、両手を空に広げているみたいな形は、とても開放感があり、そんな大きな樹木であったのにも関わらず、圧迫感は少しも感じさせなかった。

 従姉の家の庭にあるタイワンケヤキは、5年前に私が植えたもの。植えた当初は1mほどの高さしか無かった。それが、すくすく育ち、今では高さ5mを超え、単三電池ほどの太さであった幹が一升瓶の太さにまで成長した。
 武蔵野の欅と同じニレ科ケヤキ属に属するタイワンケヤキではあるが、武蔵野の欅のように真っ直ぐ伸びない。枝は暴れる暴れる。本家の欅に近い形にと思ってたびたび剪定してはいるのだが、幹は捻じ曲がるし、枝は四方八方に出すし、まったく素直でない。素性は隠し切れないようである。1本だけだから、一応庭の樹として景色になってはいるが、こんなのが何本も並んでいたら鬱陶しいことこの上無い!ってことになるであろう。

 タイワンケヤキ(台湾欅):公園樹
 ニレ科の落葉高木。分布は台湾、東南アジア。方言名:無し
 本土のニレ科ケヤキ属の欅より葉が小さい。ケヤキは箒状の樹形がきれいだが、この木は枝が暴れ、自然樹形ではそう観賞価値は無い。落葉高木と書いたが、沖縄ではきちんと落葉せず、年中いくらかの葉を保持している。生育は旺盛、よく分枝し、よく伸びる。
 実は、タイワンケヤキは沖縄での個体数が少ない。あまり見かけない。民間でも公共でも植栽工事でタイワンケヤキを用いるという例を見たことが無い。そのせいか、どの文献にもタイワンケヤキは載っていなかった。観葉植物として市販されていることを知っていたので、今回はインターネットの観葉植物を紹介しているいくつかのサイトの記事を参考にさせてもらった。なお、タイワンでない欅は、沖縄では生育しないようである。
 記:島乃ガジ丸 2005.1.28  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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