ソウシジュ |
先週、岩手の平泉、花巻を旅した。平泉の駅で降りて駅前の観光案内所に行き、平泉の観光案内地図を貰う。「地図を貰えませんか」とだけ言って、すぐに出たので恥をかかずに済んだ。「毛越寺はどこですか」と訊かなくて良かった。毛越寺を私はモウエツジと発音するものとばかり思っていたのだ。正確にはモウツウジ、貰った地図にそう仮名がふってあった。 不確かなものでもあまり調べようとしない私には、このような勘違い、思い違いなどきっといくつもある。「あのオジサン、頭悪いんじゃないの」なんて言われるようなことが、あの日あの時、あの町この町でいくつもあったに違いない。これも沖縄人のテーゲーのせい、なのだ。 ソウシジュの方言名はソーシギとあるが、私はずっとウムヤーギとばかり思っていた。ウムヤーは想う人、恋人といった意。ギは木。恋人の木ということ。相思樹にピッタリ。 ウムヤーギは確か山之口獏の詩にあった、と、今まではその不確かな"確か"を調べることはしなかったのだが、ホームページに文章を載せるようになってからは少し調べ癖がついた。で、調べる。獏の詩は「世はさまざま」という詩。 そこに出てくる木は"うむまあ木"、ウムヤーギとウムマーギ、たった一字違いだ。どうやらちょっとした覚え違いだったようだ。良かった。めでたしめでたし・・・というわけにはいかない。ウムヤーは想う人という意だが、ウムマーが解らない。沖縄語辞典にも無い。言葉の意味も不明だが樹種も判らない。墓の傍にあるんだったらモモタマナかもしれないという意見もあったが定かではない。で、お手上げ。そのうち調べておきましょう。と、これも沖縄人のテーゲーのせい、にしておく。 ソウシジュ(相思樹):街路樹・公園樹 マメ科の常緑高木。分布は台湾、フィリピン。方言名:ソーシギ 方言名はウムヤーギとばかり私がずっと思っていたソウシジュ。そのソウシは漢名の相思をそのまま呼んだもの。相思相愛のソウシ。昔、中国で相思相愛の若い男女が、この木の下でどーたらこーたらという謂われがあるのだろう。 沖縄への伝来ははっきりしていて、明治39年に台湾より導入されたと文献にある。元は、防風林、緑肥用として用いられたとあるが、公園樹としても多く使われている。枝を横に広げるので緑陰樹として良く、いっぺんにたくさん付ける黄色い花もきれい。花期は4〜5月。 枝を横に広げると書いたが、広げ方はあまり整っていなくて暴れ木の部類に入る。根の張り方も比較的弱いので、台風時に倒れることも多く、街路樹には使い辛い。庭木にも向かない。 花1 花2 |
記:島乃ガジ丸 2004.10.21 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 |