センダンキササゲ
 名前は知っているが、実物を知らない植物はたくさんある、・・・とクロヨナの頁と同じ書き出しになったが、実物は知らないけれども、図鑑の写真でその姿を覚えている植物もいくつかある。クロヨナの場合は、花も咲いていなかったし、さほど特徴のある木でもなかったのにも関わらず発見できて、嬉しい思いをしたが、特徴が割合はっきりしている樹木もいくつかあって、それらの場合は、樹木札が掛けられてなくても、「あー、これがこれであったか」となって、クイズの答えが見つかったような気分になる。

 一ヶ月ほど前の、ある晴れた日、首里城近辺を散歩した。アパートからトボトボ徒歩で龍譚(りゅうたんと読む。池)まで約40分、池をぐるり周って、円覚寺(えんかくじ)に向かって歩く。龍譚のうしろ、円覚寺の手前には、円鑑池(えんかんち)と言う別の池がある。近辺の湧水や雨水がここに溜められ、龍譚の水はここから流れている。円鑑池の中央には弁財天堂(べざいてんどう)があり、石橋で渡れるようになっている。
 龍譚と円鑑池は1本の道で分けられている。龍譚の水辺から、階段をニ十数段上り、その道へ立って弁財天堂を眺めた時に、実物は知らないけれども、図鑑の写真でその姿を覚えている植物が、建物を遮るようにして突っ立っていた。その植物は果実に特徴があって、それを私は覚えていたのだが、運良く、果実がたわわに実っていたのであった。

 センダンキササゲ(栴檀木豇豆):公園
 ノウゼンカズラ科の落葉高木 原産分布は台湾、中国南部 方言名:なし
 ササゲは豇豆、また大角豆と書き、マメ科の一年生作物。莢状果実がそれと似ている樹木ということからキササゲとなり、葉の形状がセンダンに似ているので、センダンキササゲということになる。ところが、キササゲという樹木は別にある。キササゲ(木豇豆)は中国南部原産で、同じノウゼンカズラ科の落葉高木であるが、キササゲ属(Catalpa属)で、本種(Radermachera属)とは属が違う。莢状の果実は同じようにつく。
 高さは10mほどで、根元から複数の幹が立ち上がる株立ち性となる。成長が速く、すぐに大きくなるが、その分台風には弱く、伸び放題となった枝は折れることがある。
 花は灰白色で円錐花序となる。冬~春、枝の先々にかたまって付く長い莢が目立つ。莢はカールして垂れ下がる。耐陰性があり、鉢物としても利用されているとのこと。

 花1

 花2

 実1

 実2
 記:島乃ガジ丸 2006.5.15  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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