ポンドアップル
 模合(モアイ:正当な理由のある飲み会)仲間の友人Tが昨年マイホームを建てた。その新築祝いは12月に行われ、小さいけれど立派な鉄筋コンクリート造り二階建てが模合仲間やその他の友人たちにお披露目された。
 T一家はそれまで団地住まい、団地は私のアパートから近い石嶺団地。近いのでたびたびお邪魔していた。石嶺団地は古い団地で、同じ模合仲間のYも以前、その団地の住人であった。「以前」とは私が高校生の頃の以前、もう40年近くも昔のことだ。なので、TにとってもYにとっても私にとっても、ノスタルジーを感じる団地。
 T一家が住んでいた棟の傍にポンドアップルの木が一本植えられている。高さは5m程しかないが、幹の直径は30センチほどの立派な木。何故、それがポンドアップルであると判ったかと言うと、実が付いていたから。何故、実を見ただけでそれがポンドアップルであると判ったかと言うと、その少し前に末吉公園で同じ容姿の実を見ていて、写真を撮って、調べて、それがポンドアップルであると知っていたから。
 何故、脳軟化が進んで記憶力の衰えたオジサンのくせにそういったことを記憶していたかと言うと、ポンドアップルの実はいかにもその名の通り、リンゴに似ていたから。リンゴのような実を付ける木、沖縄にはこれ以外無い。・・・と思う。

 ポンドアップル(pond apple):公園
 バンレイシ科の常緑高木 熱帯アメリカ原産 方言名:なし
 ポンドアップルは英名のpond appleから。それを直訳してイケリンゴ(池林檎)という和名もある。名前から生育好適環境が湿地だと想像されるが、だとしたらサワリンゴ(沢林檎)とした方が、語感が良いように思う。リンゴという名は果実の形から。
 「リンゴという名は果実の形から」とは実は、文献に無く、『沖縄植物野外観察図鑑』には「果実は直径10センチくらいで卵型」とあった。でも、私が見る限り、径10センチくらいはその通りだが、卵型と言うより林檎型と言った方が近い。
 同書に「高さ12mに達すると言われているが、普通は5m内外」とある。原産地の熱帯地方では大きく成長するが、亜熱帯の沖縄ではそこまで成長しないのであろう。私が見た2つの個体共に同書の通り、高さは5mほどであった。
 花は黄緑色で葉脇につくとのこと、おそらく目立たないのだと思われる、私は未確認。果肉はクリーム状で独得の臭みがあるとのこと、これも未確認だが、近々確認する予定もない。果実は大きいが、ヤニ臭さがあり、生食に適さないとのこと。食えない果肉に興味は無い。結実期は資料が無く不明。文献の写真は6月、私の写真は7月と9月。

 実
 記:島乃ガジ丸 2010.8.23  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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