オキナワウラジロガシ
 先週紹介した沖縄の草木「イタジイ」と同じ日、同じ場所、2011年9月16日、石垣島バンナ公園で出合ったオキナワウラジロガシ、イタジイと同じく、西原町立図書館から借りた本『沖縄やんばるフィールド図鑑』によると、「やんばるの森でスダジイ(イタジイの別名)に次いで多い」とある。であればイタジイと同じく、数年前まではヤンバルの森をたびたび散策していた私なので、オキナワウラジロガシにもきっと出会っているはず。きっと写真も撮って、パソコンの不明植物フォルダに入れてあるはず。
 パソコンの不明植物フォルダは「雑草」、「草本」、「木本」の子フォルダに分けられており、「木本」フォルダには約440枚の写真が収められている。1本の樹木につき写真は全体、花、葉などだいたい3枚は撮っているので、不明樹木は110種はある。その中からオキナワウラジロガシを探すのは面倒、ということで止めた。
 よって、イタジイと同じく、今回紹介する写真はヤンバル産ではなく石垣島産。「何で?」と問われたら、その答えもイタジイと同じ、ヤンバルには無かったが、石垣島バンナ公園には「これがオキナワウラジロガシ」という名札があったから。
     
 広辞苑で樫を引くと「ブナ科コナラ属の常緑高木の一群の総称。・・・同属の高木で常緑でないものをナラと総称。・・・果実は「どんぐり」。材は堅く、器具材その他として重要。」とある。オキナワウラジロガシは樫の1種ウラジロガシの変種。若い頃、樹木の支柱材として加工されたものを扱ったことがある。重くて堅かったという印象。 
 オキナワウラジロガシ(沖縄裏白樫):公園・建築材
 ブナ科の常緑高木 琉球列島に分布する固有種 方言名:カシ、カシギ
 名前の由来、カシについては広辞苑に「イカシ(厳し)の上略形か」とあった。ウラジロについては同じく広辞苑に裏白と漢字が充てられ「葉の裏は蝋状物質を分泌し白色」とあり、「葉の裏は・・・白色」ということから来ているものと思われる。オキナワは琉球列島に分布する固有種だからで間違いないであろう。
 琉球列島に分布を細かく言うと、奄美大島、徳之島、沖縄島、久米島、石垣島、西表島とのこと。山地に生育し、琉球列島のブナ林の主要構成樹木の1つ。
 材は硬く、建築材として首里城前の丸柱や守礼の門など、琉球建築に古くから利用されている。また、シイタケ栽培用原木や船舶材、薪炭材にも利用されている。
 高さは20mほどに達し、文献には「庭園樹に良い」とあったが、大名屋敷のような大きな庭ならともかく、一般の個人の庭には不向き。
 実(どんぐり)は秋〜冬に熟し大型とあり、加工して食用になるとのこと。花は小さく特に目立たない。開花期は2月。方言名、宮古八重山ではカスキと呼ぶ。 
 葉
 記:島乃ガジ丸 2017.7.29  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
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 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 
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