ナンキンハゼ
 高校の頃からの長い付き合いである友人Tとは、今でも月に1回以上は会う仲である。その彼が、女房と娘の3人で大阪で長男とおち会い、家族で京都旅行をすることになり、京都へは何度も旅行している私を、「一緒に行かないか」と誘ってくれた。来月10月の初めということで、残念ながら日程が合わず、一緒するのは断念した。
 京都旅行、もしも行けるのであったならば、数年前から仏像に興味を持つようになったので、今回は彼らの思惑とは別に、仏像鑑賞が私の予定に入っていた。一緒する娘は可愛い19歳、夫婦の思惑とは別に、その娘と2人で大阪のユニバーサルスタジオへ行き、1日デートを楽しむ予定でもあった。つくづく残念なことなのである。
 私は概ね、年に2回の旅行をしているが、京都に限らず、旅行の楽しみは、まあ、酒と食い物は別格として、沖縄では見ることのできない景色を見ることもその一つである。冬の雪景色、春のソメイヨシノ、そして、秋の紅葉。
 雪は、沖縄には降らない。大昔に降ったという記録があるらしいが、地球温暖化が進むこの先、雪がふる可能性は極めて低い。ソメイヨシノは、接木もののソメイヨシノを十何年か前に手に入れたことがある。買ったその年は咲いてくれたが、徐々に花数が減り、4年後には枯れてしまった。沖縄の環境にソメイヨシノは合わないようだ。紅葉についていえば、沖縄にも紅葉する樹木はいくつかある。いくつかあるが、そのいずれも倭国のようにきれいな黄色や赤色にはならない。イチョウの木が近所にあるが、褪せた黄緑色にしかならない。沖縄で紅葉する木で有名なものは他にハゼノキとナンキンハゼがある。ハゼノキの紅葉は見たこと無いが、ナンキンハゼは金曜日の職場の近くにあって、何度か見ている。それもしかし、倭国の紅葉に比べるとそう鮮やかでは無い。

 ナンキンハゼ(南京黄櫨):公園
 トウダイグサ科の落葉高木 中国原産 方言名:トーハジ
 ハゼとあるが、ハゼノキと近縁では無い。ハゼノキはウルシ科で、全体の形も葉の形も似ていない。花も実も似ていない。それでも南京(中国産ということであろう)ハゼとはこれいかに。種子が蝋燭の原料になるということが両者の共通点。昔、蝋燭はとても大切なものだったので、その原料であることは、姿形より重要だったのだろう。沖縄でも同じ感覚だったようで、方言のトーハジのトーは唐、ハジはハゼの沖縄読み。
 種子から採れる油は蝋燭の原料にもなるが、石鹸にもなり、また、皮膚病の塗り薬ともなる。さらには、その根の皮は薬用として用いられる。本土のイチョウやモミジほどきれいでは無いが、沖縄には珍しい紅葉する樹木の一つ。

 花

 実

 紅葉
 記:島乃ガジ丸 2005.9.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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