マルバデイゴ
 私の実家の近くの国道58号線には、街路樹としてマルバデイゴが植栽されてあった。去年の5月にこのHPでデイゴを紹介した際、ちょうど花の時期だし、ついでにマルバデイゴも紹介しようとそこへでかけた。が、マルバデイゴは無かった。街路樹は別の樹木へ変わっていた。で、マルバデイゴを紹介できぬまま1年が経った。
 今年の春、散歩の途中、近くの小学校の校庭を突っ切る。学校のプールの傍を通った時にふと、看板があることに気付いた。その看板は校内の植物という題で、学校のどこそこには何それという樹木がありますという内容だった。運動場の北側にマルバデイゴ(看板ではアメリカデイゴという名前)があると書かれてある。「やった!」と思う。
 先月5月、もうそろそろ花が咲いているだろうと思い、小学校のマルバデイゴがあると書かれていた場所へ行く。そこにはしかし、普通のデイゴは数本あったが、マルバデイゴらしきものは見当たらなかった。さっぱりした性格の私は、すぐに諦める。
 下の、マルバデイゴの説明文は去年の5月に書いたのだが、写真が撮れるまでは紹介しないと決めていたので、本種の紹介はまたしばらく延びそうな気配であった。ところがである。先日の旅の最終日、牧野植物園に行けなくて、その代わりにしょうがなく見学にいった高知城で、偶然、マルバデイゴを見つけたのであった。

 マルバデイゴ(丸葉梯姑):公園・街路・添景
 マメ科の落葉高木 ホソバデイゴの園芸品種 沖縄名:タイワンデイゴ
 ホソバデイゴの学名はErythrina crista-galli L.で、本種の学名はErythrina crista-galli L. cv.’Maruba-Deiko’となっている。学名にマルバデイコとあるからには日本で作られた品種かもしれないが、文献に記載が無いので正確なところは不明。
 ホソバデイゴも本種も、葉はデイゴと同じく三出複葉で、その名の通りホソバは葉が細く、マルバは丸みをおびている。ホソバとマルバの花の形はほぼ同じ。デイゴの花は中央から大きく折れ曲がっているが、両者は折れ方が小さい。
 ホソバもマルバも同じ別名がある。2つある。アメリカデイゴとカイコウズ。アメリカデイゴは、原産地がブラジル周辺なので、アメリカあたりから来たデイゴということ。カイコウズは中国名の海紅豆からきているらしい。鹿児島県の県木とのこと。
 デイゴは高さ10mほどにまでなるが、本種は5mほどに留まる。陽光地を好み、成長は速い。デイゴと違って耐潮風性が強いので海岸近くの植栽も可能。
 花はアンスリウムを逆さにしたような形、枝の先にかたまって付き、紅色、または濃赤色で目立つ。開花期は4月から10月。

 花
 記:島乃ガジ丸 2006.6.18  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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