カジノキ |
私は自分のことを中年貧乏チョンガーなどと呼ぶ時があるが、チョンガーは子供の頃、テレビのホームドラマか何かで聞いて知った言葉、独身男性のことを指していると認識している。が、改めて確認してみた。広辞苑を引く。 チョンガーは漢字で「総角」と書き、「朝鮮語 chonggak の転」と語源があり、「朝鮮で未婚男子のこと。成年を過ぎた独身男子の蔑称」とのこと。そうか、蔑称であったか、まあ、テレビドラマのセリフで出てくる時もそんな風ではあった。 さて、チョンガーの私は、炊事洗濯掃除の家事全般を自分でこなしている。アイロンはしないが、針と糸を持ってボタン付けはする。破れた個所の繕いも若い頃やったことがあるが、布を糸で縫い合わせ服を仕立てることはまだやったことは無い。 自給自足生活を目指すからには服も自分で作らねばと思ってはいるが、それはだいぶハードルが高い。植物の繊維から糸を縒り、布を織り、服を仕立てるまでの、最初の糸を縒りが難しく、布を織るも難しい。仕立てるのはまだ易しそうである。 ということは、糸を縒らずに、織らずに布ができればいいのだ。と思っていたらその方法が見つかった。カジノキの樹皮は、繊維を採ること無く、それから糸を縒ること無く、糸を織ること無く、布を作ることができるらしい。布作りに光明を得た。 カジノキ(梶の木):公園 クワ科の落葉高木 中国南部原産と考えられている 方言名:カビキ 名前の由来は不明。梶の木という漢字表記は広辞苑にあったが、広辞苑では他に「構の木」、「楮の木」、「穀の木」などともあった。『木の名の由来』には「穀の中国語読みからきているのではないか」とか、「楮(こうぞ)の古名カゾの転嫁かもしれない」とかあった。楮は同じクワ科の落葉低木で、樹皮は和紙の原料となることで有名な木。 カジノキもまた、その若い枝の皮が和紙の原料に利用される。『木の名の由来』によれば、「昔は両者の間にほとんど区別がなく・・・普通コウゾに当てられる楮の字も、これをカジと読ませる場合がある」とのこと。両者は見た目もよく似ているのであろう。 樹皮はまた、水に浸し、ほぐして、叩いて布となり、ハワイでカバ、南洋諸島ではタバと呼ばれ利用されているとのこと。糸を織らない布ということ。 高さ10mほど。雌雄異株で、雄花は紐状花穂を下垂させ、雌花は球状の集合花序。花は淡緑色、開花期は初夏。雌花が実を成し、果実は紅色に熟す。葉は3〜5裂する。 葉 |
記:島乃ガジ丸 2013.8.31 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行 |