イペー
 南米原産のイペーが緑化樹木として沖縄に導入されたのは、約30年前のことと文献にある。今、あちこちできれいな花を見せてくれているが、歴史はまだ新しい。
 イペーの学名はTabebuia avellanedae Lorenz ex Grisebであり、これは桃色の花を咲かす樹木で、もともとイペーといえば、この木を指していた。次に、同じく南米から導入されたコガネノウゼンは、学名Tabebuia chrysotricha Mart. Ex DCといい、これは鮮やかな黄色の花を咲かせてくれる。イペーとコガネノウゼン、同じタベブイヤ属で、樹形も葉の形、花の形も似ている。花色と成木の大きさが違う。
 花色は、どちらもそれぞれきれいなのだが、イペーは大木となり民間の庭では使いにくい。一方、コガネノウゼンの方は、文献には高さ10mとあるが、よく見かけるのは3〜5m程度のもので、さほど太くもならない。よって、民家の庭で使える。
 そういうことがあってか、沖縄での植栽量としてはコガネノウゼンの方が多く、したがって、コガネノウゼンの方が概ね親しみが深い。なわけで、コガネノウゼンの方をイッペーと呼ぶようになった。イッペーといえば黄色の花が先ず浮かぶのである。
 そして、本家のイペーはというと、可哀想というか何というか、いつかしら別名で呼ばれるようになる。沖縄県緑化種苗組合が出している資料には、イペーの別名としてアカバナイッペーと記述されている。イペーにしてみれば本末転倒なのだ。「おいおい、俺が先なんだぜ。向こうの方をキバナイッペーにしろよ。」とでも思っているに違いない。

 イペー:公園
 ノウゼンカズラ科の落葉高木 原産分布はパラグアイ、アルゼンチン 方言名:なし
 イペー(Ipe)は英語名であるが、その英語名は現地語からきている。パラグアイ、アルゼンチンの原産なのでおそらくスペイン語か、あるいは先住民の言葉かもしれない。
 別名をアカバナイッペーというが、同属のコガネノウゼンのことを沖縄ではイッペーと呼び、本種は花色が桃色なので赤花のイッペーとなっている。
 高さは10〜20mになる。自然樹形で整った形になるが、成長が速く、大木になるので狭い庭には不向き。ただ、強く剪定して庭木として使っている民家もある。
 花は桃色で、枝先に玉状に群れて咲く。開花期は2月から4月。落葉後、葉を出す前に咲くので、満開の時期は見事な景色となる。陽光を好む。
 ちなみに学名は、
 イペー Tabebuia avellanedae Lorenz ex Griseb 英語名:Ipe
 コガネノウゼン Tabebuia chrysotricha Mart. ex DC. Standl

 花

 満開1

 満開2
 2011.10.26訂正加筆
 記:島乃ガジ丸 2005.3.13  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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