フクベノキ
 ガジ丸HPを始めた1994年9月、その少し前から植物を観察するようになり、写真を撮って、図鑑と見比べて何者かを判明させ、その説明文を書いてきた。紹介した植物は800種を超えている。その800種、当然ながら全部は覚えてはいない。・・・ちょっと見栄を張ってしまった。全部どころか半分も覚えていないと思う。
 覚えているものはたいてい有名なもの、沖縄では昔からあり、子供の頃からその名前を聞き、実物もよく目にしているもの。例えば、ガジュマル、デイゴ、シークヮーサー、バンシルー、クワ、ハイビスカスなど。大人になってから親戚の庭などでよく目にしたものも覚えている。クロキ、ゲッキツ、チャーギ、リュウキュウマツなど。
 その木の特徴から最近(ここ10年ほど)になって覚えたのもある。それらは花が派手とかきれいとか、実に特徴があるとかなどで記憶に残る。例えば花が派手、または、きれいなのではホウオウボク、ゴールデンシャワー、ブーゲンビリア、カエンボクなど。実に特徴があるのではマンゴー、カニステル、アセローラなど。

 フクベノキには偶然出会った。2011年7月のこと。これも実に特徴があって、写真を撮って調べて、すぐに何者か判明した。実がとても大きい(直径30センチほど)というのが特徴。これもたぶん記憶に残る。例えば親戚の、あるいは友人の子供たちと散歩して、この木に出会って、子供たちが「わー、でっかい実、オジサン、あれ何?」と問われたら、私はたぶん威張ることができる。ただし、実が着いていればの話。

 フクベノキ(瓢樹):公園
 ノウゼンカズラ科の常緑高木 原産地は南米、西インド諸島 方言名:不詳
 名前の由来について明記した資料は無いが、フクベ(瓢)は「ひょうたんの果実で製した器」(広辞苑)のこと。この「果実で製した器」が由来の元となっていると思われる。本種の果実も殻が硬く、乾燥させて容器に利用するとのこと。別名ヒョウタンノキともある。ただし、ヒョウタンはウリ科の蔓性一年草で、ユウガオの変種。科も違い、全体の姿も本種とはほど遠い。ヒョウタンは草、本種は木、なので「の木」とついてフクベノキ。
 果実は直径30センチほどの球形で、私は未確認だが、「果皮はノコギリでなければ切れないほど堅く」とあり、これを乾燥させて、くりぬいて水汲みの容器などにする。若い果実は食用になるようだが、用途としては他に工芸品や装飾品とのこと。
 高さは12mほどになり公園樹向き。花や果実は直接幹や太い枝に着く。果実が直接幹に着いているのは確認済み。花はコップ状で色は黄色とのことだが、これは未確認。

 実

 葉
 記:島乃ガジ丸 2013.8.29  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
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