フイリタコノキ
 地元の人間にも観光客にも人気のある、ジンベイザメやマンタで有名な、大きな水槽がある水族館で有名な国立沖縄海洋博公園、その敷地内には多くの植物が植えられている。観光客は水族館が好きだが、私はその植物の方により興味がある。
 海洋博公園の敷地はとても広いので、植物の写真を撮りながらくまなく回るとなると、朝早くから夕方暗くなるまでかかると思う。海洋博公園は私の家から遠いので、朝早く行くことも、夕方暗くなるまでいることもなかなかできない。さらに、海洋博公園は私の家から遠いので、出かける機会もなかなか無い。倭国から友人知人が来て、「ちゅら海水族館へ行きたい」と頼まれた時などに限られる。そんな機会、ここ10年で3度だけ。
 同行者がちゅら海水族館を見学している間、できれば私は水族館では無く、敷地内の植物たちを見学したいのだが、3度の内、1度だけそれを許された。同行者がちゅら海水族館を見学している間というのはせいぜい2時間程度だ。敷地内をくまなく回ることはとうてい不可能。で、水族館の周囲をブラブラする。でも、たったそれだけでも、多くの植物に出会い、初対面のものにも出会う。フイリタコノキもその一つ。

 フイリタコノキ(斑入り蛸の木):添景・鉢物
 タコノキ科の常緑中木 原産分布はポリネシア 方言名:なし
 タコノキという名は、オガサワラタコノキやビヨウタコノキの頁でも書いているが、幹から太い気根を多く出している形が蛸に似ているから、とのこと。本種はそれらのタコノキと同属で、葉に斑が入っていることからフイリ(斑入り)と名がつく。別名をシロフタコノキと言うが、斑の色が白い(黄色もある)ことによる。
 公園などで見かけることが多いが、高さは5mほどに留まるので、民家の庭の添景としても使える。また、観葉植物の鉢物としても利用される。タコノキ類が概ねそうであるように、本種も性質が強く、耐乾湿性があり、痩せ地でも育つ。
 同属のオガサワラタコノキやビヨウタコノキと同じく本種もまた、蛸のように気根を出していている。本種はまた、斑の入った葉も観賞対象となっている。斑の色、模様は種類によって異なる。棘無しもある。葉が茂るので適宜葉落としする。
 学名はビヨウタコノキがPandanus utilis Bory
 オガサワラタコノキがPandanus boninennsis
 アダンがPandanus tectorius
 本種はPandanus laevis Kunth cv. 'Variegatus'
 記:島乃ガジ丸 2010.2.15  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
inserted by FC2 system