ハマイヌビワ
 今週”イヌビワ”と名のつく植物を4種紹介しているが、4種ともクワ科で、そして、イチジク属である。この仲間は南方系のものが多いようで、沖縄にはいくつもある。このところ学名にも興味を持って、『寺崎日本植物図譜』などという、字の小さな書物も見るようになった。イチジク属はFicusという。フィカスと発音し、これも馴染みがある。なにしろ、このHPの名前であるガジュマルもまたフィカスだからである。
 学名などには興味無いという人が多いかもしれないが、せっかく調べたので、沖縄でよく見ることのできるフィカス属の学名を紹介しておこう。
アコウFicus superba (Miq.) Miq. var. japonica Miq.
イタビカズラFicus nipponica Franch. et Savat.
イチジクFicus carica L.
イヌビワFicus erecta Thunb.
インドゴムノキFicus elastica Roxb.
インドボダイジュFicus religiosa L.
オオイタビFicus pumila L.
オオバアコウFicus caurocarpa Miq.
オオバイヌビワFicus septica Brumann fil.
ガジュマルFicus microcarpa L. fil.
カシワバゴムノキ(カシワバイヌビワ)Ficus lyrata Warb.
ギランイヌビワFicus variegata Bl.
シダレガジュマル(シロガジュマル)Ficus benjamina L.
ハマイヌビワFicus virgata Reinw. ex Bl.
ヒメイタビFicus thunbergii Maxim.
ベンガルボダイジュFicus bengalensis L.
 上に挙げた植物たちは、だいたいがその樹形、葉形、果実などに特徴があって、見分けやすい。素人の私でもただ一つを除いてはどれも認識できる。その、ただ一つとは今回紹介するハマイヌビワである。私は、これがハマイヌビワだと認識して見たことは一度も無い。あまり特徴が無いので、見たとしても認識できないのである。よって、写真のものがハマイヌビワかどうかについてもあまり自信が無い。イヌビワとよく似ているので、その見分けが難しい。文献の写真と見比べて、何となくそうじゃないかと・・・。

 ハマイヌビワ(浜犬琵琶):公園・添景
 クワ科の常緑高木 原産分布はトカラ列島以南、沖縄、他 方言名:アチネークなど
 同属のイヌビワによく似ていて、海岸に自生するところからハマ(浜)イヌビワという名前。イヌビワという名前は、その果実の見た目がビワに似ているが、ビワの実より小さく、味も劣っているというところからきている。
 分枝が割合少なく、自然樹形で整った形になる。高さも5mほどに留まり、民家の庭でも使い易い。ではあるが、民家の庭木としてはあまり見ない。いや、見ているかもしれないが、私が気付かないだけなのかもしれない。イヌビワのそれと似た果実、採種期は3月から4月。花はイチジク同様に果実の中にある。これを無花果という。
 陽光地を好む。耐潮風性が強く、成長は速い。幹や枝から多くの気根を発生する。
 ちなみに、似たような名前のハマビワはクスノキ科の常緑中木。

 実
 記:島乃ガジ丸 2006.9.2  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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