フィカスハワイ
 クワ科フィカス属の仲間は熱帯性のものが多く、したがって、倭国に比べると沖縄にはその種が多い。このHPの名前の由来にもなっているガジュマルもそうだし、他に、アコウやイヌビワ、ハマイヌビワ、オオバイヌビワなどの中高木に、ヒメイタビやオオイタビといった蔦植物もある。海外から導入されて、公園や街路に利用されている樹木も多く、カシワバイヌビワ、ベンジャミン、インドゴムノキ、ベンガルボダイジュ、インドボダイジュなどがある。そして、今回紹介するフィカスハワイその一つである。
 上にあげたフィカス属の植物の中では、ウチナーンチュにとってこのフィカスハワイがもっとも耳慣れない名前の植物であろう。ウチナーグチ(沖縄口)で屁はヒーと発音されるので、屁滓ハワイなどと、ハワイには失礼な連想をしてしまうかもしれない。
 私の友人である整体師Sの治療院は那覇市の古島にあり、その前の道路は両サイドにフィカスハワイが街路樹としてある。それらは高さ10m近くもあり、傘状となって道路に覆いかぶさり、見事な景観となっている。その並木道を私は10年以上も前から知っていて、その街路樹であるフィカスハワイもその頃から知っていたのである。

 フィカスハワイ(ふぃかす布哇):公園
 クワ科の常緑高木 原産分布は不明 方言名:なし
 フィカスは属名のficusで、和語だとイチジク属のこと。ハワイ産だからフィカスハワイなのであろうと思っていたら、原産分布は不明とのことであった。漢字でハワイのことは布哇と書く。イチジクは無花果だから、敢えて漢字表記をすれば無花果布哇となる。
 他のフィカス属の多くがそうであるように、本種もまた幹や枝から多くの気根を発生する。ガジュマルほどではないが、幹から出た多くの気根が幹を巻いて、そのまま幹の一部となり、モコモコした幹肌になることが多い。
 高さ10mほどまでになる。陽光地を好むが耐陰性もあり、また耐潮風性が強く、乾燥にも強い丈夫な植物。成長が速く萌芽力があるので、適宜剪定し、形を整える。幹が真っ直ぐ伸び、すらっとした姿の傘状の樹形となる。緑陰樹に向く。

 実

 葉

 幹
 記:島乃ガジ丸 2006.1.7  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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