ダイオウヤシ
 ヤシの多くは見た目が似ている。なので、ものの見方が大雑把な私には見分けのつかないものが多くある。その中でも独特な形をしたもの、写真を撮って、図鑑と見比べて何とか判明したものをこれまでに紹介している。
 ダイオウヤシは、図鑑を見ただけではその形に独自性があるようには見えない。ただ、その大きさに特徴がある。背の低いうちは他のヤシと区別しにくいのだが、幸いにも、近所にでっかいダイオウヤシがあった。幹の太さ、背の高さ、そのどっしりとした風格は、まさに、大王という名にふさわしい。「これがダイオウヤシだな。」と、実物を見上げながら、私も確信したのであった。

 ヤシ科Arecaceaeには、クロツグ属、ビロウ属、ニッパヤシ属、カンノンチク属、ヤエヤマヤシ属、シュロ属などが日本産としてあって、その内、ニッパヤシ属以外の属に含まれるヤシをこれまでに紹介している。外国産では、ココヤシ属、ナツメヤシ属、クジャクヤシ属、トックリヤシ属、ビンロウジュ属、クリサリドカルプス属(ヤマドリヤシ)、ワシントンヤシ属、マニラヤシ属、ミツヤヤシ属などが紹介済みである。で、今回のダイオウヤシ(ダイオウヤシ属)で、しばらく続いたヤシの紹介も一段落。

 なお、造園の本を読むと、ヤシの高さは葉頂点、成長点とに分けられている。葉頂点は根元から一番上の葉先までを言い。成長点は根元から葉の生え際までを言う。ヤマドリヤシは葉頂点で高さを測り、他の多くのヤシは成長点で測る。何故そうなのかについては不明。ダイオウヤシは高さ20mほどになると文献にあるが、それは成長点までの高さということになる。近所にあるダイオウヤシはその高さに近い。ただ、ダイオウヤシを葉頂点で測ったとしても、2mほどプラスになる位だ。概ね20mに変わりは無い。
     
 ダイオウヤシ(大王椰子):公園
 ヤシ科の常緑高木 キューバ原産 方言名:なし
 高さ20mと背が高く、また、葉も大きく、幹の直径も70センチ前後で勇壮な姿をしたヤシ、そこからダイオウ(大王)という名がついている。
 陽光地を好み、肥沃で保水性のある土壌で生育が良い。成長は速い。特に、幹の肥大成長が早い。大木になるので広い場所に植栽する。低温に弱いので本土での路地植えは難しいとのこと。花は目立たないが、房状に多くつく。開花期は6月から8月。
 タイワンカブトムシの食害を受ける。
 記:島乃ガジ丸 2008.4.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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