ビンロウジュ
 ある年ある日、写真のプロパティーを見ると2006年2月12日、末吉公園で、ビンロウジュを発見した。それに名札はついていなくて、本当にビンロウジュなのかどうか、うっかりものの私としてはいくらか不安もあるが、その幹肌の状態からしてたぶんビンロウジュ。写真を撮る。参考文献と照らし合わせる。
 文献によると、ビンロウジュはのっぽでスリムなヤシとあったが、末吉公園のものは3mほどしかなかった。それでもビンロウジュ。まだ若いのであれば3mしか無くても何の不思議も無い。文献の写真と幹肌がそっくりなのである。だからビンロウジュ。
 絶対確か、という自信も無く、こうやって発表していっていいのか、と自問する。いいのである、と自答する。たぶん、間違っていたらごめんなさい、で済む話であろう。空は青空だし、風はそよ風だし、蝶々は飛んでいるし、沖縄は、厳しくない。

 それから5年後の2011年2月13日、海洋博公園でビンロウジュを発見した。参考文献の写真と幹肌はそっくりとは言えないが、「のっぽでスリム」についてはその通りであり、さらに、それにはビンロウジュと名札があった。だからビンロウジュ。
 それからさらに7年半後、ヤシ類について改めて調べる機会があって、過去の自分の記事を読み返していたら間違いがいくつもあることに気付いた。だから訂正加筆。 
 ビンロウジュ(檳榔樹):街路・公園
 ヤシ科の常緑高木 原産分布はインド、マレーシア 方言名:ビンローギー、ビンロー
 アレカという名の本家。英語辞書でarecaを引くと「ビンロウジュ属の植物、特にビンロウジュを指す」とある。Arecaは学名の属名であり、英語のarecaもそこからきているのだろう。英語名は、Areca-nutでビンロウジュを特定し、その果実も指す。漢字の檳榔はビロウとも読み、ビロウ(蒲葵とも書く)のことも指す。私はずっと思い違いをしていたが、ビロウ(蒲葵)は同じヤシ科でも属が違う別の種。
 高さは10〜15mほどになる。直立する幹の頂部に葉を叢生する。樹高に比べると葉は小さく、したがって樹冠も狭い。八頭身とか十頭身とかに見える、のっぽでスリムなヤシ。幹には竹のような節がある。
 果実は鶏の卵大できれいなオレンジ色になり、嗜好品となる。キンマ(蒟醤:コショウ科の植物でコショウに似る)の葉に石灰と共に混ぜて、チューインガムのように噛む。英語名の別称であるBetel-nutのBetelは、このキンマのことを指す。

 幹(末吉公園)
 
 幹(海洋博公園)

 訂正加筆:2018.9.4 
 記:島乃ガジ丸 2006.3.14  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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