アカメガシワ
 私は知ったかぶりする癖があるが、「聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥。」という精神も持ち合わせている。「あれ何?これ何?何で?どうして?」などと、知識欲に目覚めた小学生ほどではないが、いろんな人にあれこれ質問している。
 最も多いのはウチナーグチ(沖縄口)について、ウチナーグチの唄を作ると、そのウチナーグチが正しいかどうか、友人のE子、父、従姉の亭主、散髪屋のオヤジ、行きつけの喫茶店の常連客である老夫婦などに尋ねている。
 また、親戚、友人知人の家を訪ね、そこに知らない植物があると、それがなんであるかをすぐに訊いている。叔父の家ではイーチョーバーやアシタバを教わった。散髪屋のオヤジからはキクイモ、ウンナンヒャクヤク、ブラックベリーなどを教わった。

 先日、知人の家を訪ねたら、見たことの無い木があり、早速、それが何であるかを主に尋ねた。「アカメガシワです。」とのこと。すると私は、「あー、ヤンバルのですね。」と応じる。アカメガシワはヤンバル(山原、沖縄島中北部の通称)に特に多いというわけではない。アカメガシワと聞いて、ヤンバルアカメガシワが思い浮かんで、つい口からそのような言葉が出てしまったのだ。知ったか振りしたかったのである。
 「やはり、新芽は赤いですか?」とも訊いた。新芽が赤いからアカメガシワという名前であることは知っていたのだが、しかし、それもまた、アカメガシワのことは概ね知っているんですよと、知ったかぶりしたい欲求の表れである。
 「新芽だけでなく、葉柄も赤いですよ。」と主が言う。葉柄も赤いということは文献に記載が無く、私も知らなかったのだが、「それは知りませんでした。」とは言わず、黙って肯く。知ったかぶりオジサンはなかなかズルイのである。

 アカメガシワ(赤芽柏):公園
 トウダイグサ科の落葉高木 本州〜九州、沖縄、朝鮮などに分布 方言名:ヤマユーナ
 春の新芽が赤いことからアカメ(赤芽)、カシワ(柏)のように葉が大きいことからカシワとついて、アカメガシワという名前。
 『寺崎日本植物図譜』と『新緑化樹木のしおり』には落葉高木とあったが、『沖縄植物野外活用図鑑』には常緑高木とあった。私が見た個体は、12月にも見ているが落葉の気配はまったく無かった。亜熱帯の沖縄だと落葉の必要が無いのであろう。
 新芽は鮮やかな紅色をしているとのことだが、私は未確認。また、秋には美しく黄葉するらしいが、私は見たこと無い。おそらく落葉しない沖縄では黄葉もしないかも。
 日本の山野に普通に見られるとのこと。高さは10m、傘状の樹形となる。
 花色は白で、開花期は、沖縄では4月から6月。果実は表面に多くの棘があり、成熟すると三裂開するとのこと。結実期は6月から8月。雌雄異株。
 沖縄にはヤンバルアカメガシワもある。本種とは同属で、学名は、
 アカメガシワ Mallotus japonicus Muell.-Arg.
 ヤンバルアカメガシワ Melanolepis multiglandulosa Reichb. f. & Zoll

 葉
 記:島乃ガジ丸 2009.6.14  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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