ヤハズカズラ
 近くにある石嶺図書館は1度に5冊の本を2週間借りることができる。なので、私は少なくとも2週間に1度は石嶺図書館を訪れている。図書館は私の住まいから南西方面にあり、図書館へ向かう際は、石嶺小学校を裏門から正門へ抜けていく。
 ベンガルヤハズカズラはあちこちの公園で、パーゴラに這わせたようなものをよく見かける。もう何年も前に、たぶん10年以上も前に、私は海洋博公園で見て、知っていた。ところが、ベンガルヤハズカズラからベンガルを引いたただのヤハズカズラは、今まで見たことが無い。どういうものであるかは本で見て知っている。園芸店にあると聞いてはいたが、園芸店に行くともっぱら畑用の苗の方へ足が向いてしまい、鉢物のコーナーをまわるのを忘れてしまう。で、ずっと、実物を知らずにいたのだが。

 6月のある日、図書館へ向かっていつもの道を行く。石嶺小学校の裏門手前にある民家のブロック塀に、ツル性の植物が塀に乗っかるようにしてツルを伸ばし、その先に数輪の黄色い花をひょこっと咲かせていた。初対面の花ではあったが、名前はすぐに思い浮かんだ。ベンガルヤハズからベンガルを引いたただのヤハズカズラ。
 「あら、まあ、こんな近くにいらしたのですか。長い間、お目にかかりたいと思っていたのですよ。会えて、とても嬉しいです。」といった気分。
 数年もの間この道を、少なくとも2週間に1度は通っていたにもかかわらず、今までその存在にまったく気付かなかった。会いたいと思っていた「長い間」というのは、じつはHPに載せるための写真が欲しかったからで、せいぜい半年といったところ。会いたいという思いがすぐに通じたようである。

 ヤハズカズラ(矢筈蔓):壁面・パーゴラ
 キツネノマゴ科の常緑蔓植物 原産分布は熱帯アフリカ 方言名:無し。
 ヤハズ(矢筈)とは「矢の上端の、弓の弦を受ける部分。」(広辞苑)のこと。葉の形がその矢筈に似ているからヤハズカズラという名。
 陽光地でやや乾燥気味な場所を好む。本土では一年草であるらしいが、暖かい沖縄では多年草となる。成長が速く、枝が密に絡みつく。開花期は周年。

 花
 記:島乃ガジ丸 2005.7.17  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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