チョウマメ
 私は演歌が好きで無いが、演歌を好きな人は嫌いでは無い。むしろ、着物姿でしっとりと歌う色っぽい演歌歌手の何人かは大好きである。
 私はグループサウンズ音楽が好きで無いが、それを好んで歌う友人たちのことは嫌いでは無い。「つまらん」と評価する私のことを彼らは嫌がるが、音楽の好き嫌いなんて個人の感性の問題なのだから、「つまらん」という私も許して欲しいものである。
 若い頃、フォークやニューミュージックを聴いていると、「くだらんもん聴いている暇があったら勉強しろ」と父親は怒鳴り、すその広いジーパンを穿いていると、「バカかお前は」と父親は言い、踵の高い靴を履いていると、「アホかお前は」と父親は言った。そんな父親が反面教師となっているので、私は今の若い人が聴いている音楽、身に着けているファッションなどに対して概ね偏見は持っていない。好き嫌いを問われれば、「嫌い」と答えるが、まあ、つまりは、どうでもいいのである。「勝手にすれば」ということ。
 若い人が使う言葉についても、「日本語が廃れる」なんて言う大人もいるが、私はべつにどうでもいいやと思っている。元々の由緒正しい日本語を使わなけらばならないなんてことになったら、「まろは、宇多田ひかるが好きでごじゃる」まで戻るのだろうか。
 若い人が「チョー、カッコイイ」、「チョー、ヤベェ」などと使う「チョー」も耳障りではあったが、今はもう慣れた。でもまだ、聞くには慣れたが、言うには慣れていない。

 畑のエダマメを収穫してすぐに食べる。あまりにも美味しくて、豆を超えた豆ということで「チョー、マメ」なんて、私は言ったりはしない。ところが、「チョウマメ」とは言うことがある。そういう植物があるからだ。超豆では無く、蝶豆。

 チョウマメ(蝶豆):フェンス・鉢物
 マメ科の蔓性多年草 東南アジア原産 方言名:なし
 花の形が蝶に見えるマメ科植物なので蝶豆という名前であろう。英語名もそっくりそのままButterfly Pea。英語が先か日本語が先か、あるいは偶然の一致かは不明。別名をパイプマメと言うが、これも花の形から。チョウに見えるかパイプに見えるかは主観の問題だが、タバコに偏見を持たない私は、パイプの方に軍配を上げたい。大差で。
 茎は3〜5mに伸び、よく分枝して大きく広がる。多くは鉢物として園芸店に出回っているが、亜熱帯の沖縄では露地植えができ、フェンスに絡ませて生垣に利用できる。
 花色は濃紫色の他、白、淡桃色などがあり、また、それぞれ八重咲き種もある。開花期は4月から11月。果実は長さ5〜10センチの莢状で、その莢は食用となる。花は染料になり、根、種子は薬用として利用される。

 花
 記:島乃ガジ丸 2006.6.17  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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