トケイソウ
 もう何十年も腕時計をはめていない。大学受験の頃までは必要であったが、大学に入ってからは外しっ放しだと思う。30年以上となる。
 時計はでも、生活の必需品ではある。私の部屋には壁掛けの時計があり、それを見ながら朝の、出勤前の支度をしている。そういえば、テレビのある頃はテレビが時計代わりだった。地デジ化からもう五ヶ月か、テレビの無い生活、何の不自由も無い。
 運転中は車のオーディオの時計があり、出勤時、遅刻しそうな時はしばしば目をやっている。散歩している時は携帯電話の時計があるが、どこかへ何時までに行かねばならないなどという約束でもない限り、散歩中に時計を見ることはほとんど無い。散歩は時間に縛られていると楽しくない。好きなだけ歩く。のんびりが一番。

 そんなのんびり散歩のある日、時間を知りたいわけでもないけど時計を見た。ポケットから携帯電話を取り出したのでは無い。時計は目の前の花壇にあった。

 トケイソウ(時計草):パーゴラ、フェンス
 トケイソウ科の常緑蔓性多年草 熱帯アメリカ原産 方言名:不詳
 名前の由来が広辞苑にあった。「花の構造が時計の文字板を思わせるから」とのこと。私はその名前も実物も若い頃から知っていて、確かに時計の文字盤を思わせる花とそれを端的に表現した名前も覚えやすいので、私の小さな脳味噌も忘れることは無い。
 別名をパッションフラワーと言う。既に紹介済みのクダモノトケイソウは同属で、パッションフルーツという名前で馴染み深い。そのパッションは英語でpassionと書き、「イエスの受難」(広辞苑)という意。パッションフルーツについてはその名の由来が広辞苑にあり、「花芯が十字架に見えるところから」とのこと。
 トケイソウにはいろいろな品種があり、日本に古くに入ってきたトケイソウは葉が3〜5裂し、花は大きく葉腋に付き、多数の糸状の副花冠が放射状に並ぶとのこと。萼片、花弁、副花冠、花芯などが全体に時計の文字盤を思わせる。4〜10月に開花する。写真のものはサオトメトケイソウという種で、開花期は5〜7月と10〜11月。
 耐寒性が無いので倭国では戸外で越冬できないとのこと。しかし、亜熱帯の沖縄では年中戸外でも大丈夫。フェンスに絡ませている民家を時折見かける。
 花
 記:島乃ガジ丸 2011.12.6  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
inserted by FC2 system