シクンシ
 私の家から2番目に近いスーパーへは小学校の東門から西門へ抜けて行った方が近道となる。が、西門の手前には幼稚園があって、子供たちがそこにいるとたまに声をかけられたりして煩い。で、休日で無ければそこを通ることはほとんど無い。
 子供たちが夏休み期間中であったある日、久々にその道を通る。東門を入って塀沿いを歩く。カイヅカイブキの生垣が少しあって、コバテイシの大木とそれより低いリュウキュウコクタンがほぼ交互に植えられている並木が塀の角まで続き、曲がった正面にはイヌマキが数本並べられている。塀の角のリュウキュウコクタンと正面のイヌマキとの間に面白い木が1本あった。木は隣地の庭から伸びてきているもの。面白いのはその花の付き方。枝先にいくつも固まって、数センチある花茎を枝垂れさせて、真下に向かって花を開いている。今まで見たことの無い花、私の知らない木。
 調べてみると、これがまあまあ有名な植物で、私もその名前だけは以前から知っているもの。ガジ丸HPを始めてからたびたびあることだが、今回もまた、
 「やあ、これはこれは、あなたがあなたでしたか」となったのである。

 シクンシ(使君子):フェンス・パーゴラ・添景
 シクンシ科の蔓性常緑木本 南西諸島、東南アジアなどに分布 方言名:なし
 漢字は四君子だと思っていた。四君子は「(その高潔な美しさを君子にたとえていう)中国・日本の絵画で、梅・菊・蘭・竹の総称」(広辞苑)のことで、それらに匹敵する美しさであることから名付けられたのであろうと思っていた。が、調べると使君子であった。
 君子とは「高い身分の人。人格が立派な人。徳が高くて品位のそなわった人。品位の高い人。人格者。」(広辞苑)とある。そのような人を使う(使用人にする)くらいに立派で、品位の高い植物である、ということなのであろうか。詳細は不明。
 高さは6〜8mにまでなる。蔓植物としてフェンスやパーゴラにも使えるが、剪定によって形を整え、庭の添景としても利用できる。陽光地を好むが、半陰でも生育する。
 花は枝先にいくつも集まって(穂状)、下向きに咲かせる。花色は、咲き始めは白であるが、後に紅色に変わる。開花期は6月から11月。
 果実は駆虫剤、ニコチン中毒の中和剤などに利用される。『沖縄の都市緑化植物図鑑』にはシクンシは別名となっていて、インドシクンシという名で載っている。

 花
 記:島乃ガジ丸 2005.11.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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