ニトベカズラ
 片手に携帯電話を持ち、話をしながら片手運転するのは禁じられている。そんなどうでもいいことで減点くらって、5年の免許更新が3年に縮まるのはバカらしいので、私は運転中、携帯電話をドライブモードにしている。
 運転中私はたいてい、助手席に愛用の3倍ズーム付バカチョンデジカメを置いてある。しかしながら、運転中に写真を撮ったことはほとんど無い。写真を撮る場合は車を停めてから撮っている。片手運転しながら写真を撮ることは禁じられてる、わけではないが、だからといって、写真のために事故でも起こしたらバカらしいので、そうしている。
 環状2号線の末吉辺り、都市モノレールの桁に絡みつくようにニトベカズラが這っていて、たくさんの花をつけているのを見た。しかし、残念ながら運転中だったので写真を撮ることはできない。しかも、残念ながら急いでいたので、停車もしなかった。
 用を済ませ、写真を撮りに戻ろうかとも思ったが、いつもの怠け癖が出る。そのうちまた機会もあるだろうと楽観的観測をし、家に帰る。アパートの2軒手前の家の辺りで、神の声を聞く。「右を見よ」と言う。で、見る。そこにニトベカズラがあった。楽観的観測は意外にも、さらに楽な条件でもって現実となった。人生にはこんなこともあるのだ。

 ニトベカズラ(新渡戸葛):フェンス・パーゴラ
 タデ科の常緑蔓性木本 原産はメキシコ、南アメリカ 方言名:なし
 現在のではなく、その前のお札で、同時期に発行された千円札の夏目漱石、一万円札の福沢諭吉は馴染みがあってすぐ判ったのに、五千円札の肖像は「誰だ?こいつ」であった。名前を聞いても「何者なんだ?そいつ」であった。偉い人であることは後日、知った。
 ニトベカズラは、その五千円札の顔である新渡戸稲造博士を記念してつけられた名前であるらしい。新渡戸という字も、ニトベという読みも珍しかったので、五千円札ですっかりその名を覚えてしまった。で、ニトベカズラもすぐに覚えることができた。
 巻きヒゲがモノに絡みついて蔓を伸ばし、辺り一面を覆う。伸ばした枝先に多くの花をつけて、満開のときは見事な景色となる。開花期は6月から12月。日当たりの良い、風の強く当らない場所で生育が良く、花つきも良い。園芸品種には白花もある。
 別名をアサヒカズラという。花の色を朝日に見立ててのもの。

 白花種
 記:島乃ガジ丸 2005.8.29  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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