ナンゴククサスギカズラ
 沖縄の草木・草本で「スギノハカズラ」を紹介したのは一ヶ月ほど前の9月15日、その時に、「畑にアスパラガスが2株あって、その中の1株が大きく育って、1週間ほど前に芽が1本、10センチ程に伸びているのを発見。「数日後には収穫できるな」とニンマリしたではなかったかと。翌日、畑へ出掛けアスパラガスを確認。その芽は既に手遅れだったが、新たに芽が出ていた」と書いて、「この新芽は数日後に必ず食ってやる」と思っていたのだが、忘れた。気付いた時には30センチ程の高さになっていた。
 私の脳味噌が衰えていることの証明であるが、私の脳味噌がまだ使える状態であることを、今回紹介するナンゴククサスギカズラの説明文を書いている時に確認できた。
 同じく「スギノハカズラ」の記事の中で、「食用となるアスパラガスはクサスギカズラ(草杉葛)で、観葉植物となるアスパラガスはスギノハカズラ(杉葉蔓)ということのようである」と書いたが、それは覚えていたのである。

 ということで、本種ナンゴククサスギカズラもまた、アスパラガスの仲間で、食用となるアスパラガスと同じ草杉葛という名が付いている。ところが、このクサスギカズラは食用とならない。見た目が草杉葛、草であり、葉が杉の葉に似ていて、蔓蔦の類ということであろう。南国という名が付いたら食えない、ということではないと思う。
 
 ナンゴククサスギカズラ(南国草杉蔓):海岸野草
 ユリ科の蔓性多年草 九州以南に分布 方言名:ティンムン、バママツ
 名前の由来、スギ(杉)については『沖縄植物野外活用図鑑』に「葉状枝が杉の葉に似ているので」とあった。残りは私の想像となるが、ナンゴクは南方(九州以南)に分布するので、クサは草本性なので、カズラは蔓性なので、ということだと思われる。
 茎は匍匐して長さは1〜2mまで伸び、海岸の岩の上に生息する。花は径4センチほどの淡黄色で、開花期は春から夏。果実は球形で径7ミリほど、白く熟す。
 「葉状枝が杉の葉に似ている」と文献にあり、それはその通りなのだが、私には「トゲトゲ葉っぱ」と見えた。その葉、葉ではなく、葉状枝と呼ばれる枝とのこと。
 記:島乃ガジ丸 2017.10.1  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
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 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 
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