キダチハマグルマ
 今年の3月、今帰仁の海岸を散歩していたら、海岸の防波堤のすぐ傍に黄色の花が咲いているのを見つけた。見たことのある花であるが、それとは葉っぱが違う。
 ハマグルマ(Wedelia)属の植物は、前にアメリカハマグルマを紹介している。そちらの方が公園や道路の法面緑化植物として多く利用され馴染み深く、属名のウエデリアという名と共によく知られている。アメリカハマグルマはその名の通りアメリカ大陸原産で、沖縄にとっては帰化植物。私は知らなかったが、沖縄には、沖縄に自生するハマグルマ属の植物があったのである。それがキダチハマグルマ。アマリカハマグルマは知っているが、キダチハマグルマは知らないというウチナーンチュは多いに違いない。
 マドンナは知っているけど我如古より子を知らない、ハリーポッターは知っているけどウンタマギルーを知らない、サンキューは知っているけどニフェーデービルを知らない、そんなウチナーンチュが増えているのと似ている。アメリカは強い。
 『名前といわれ野の草花図鑑』にネコノシタという面白い名前の植物があった。葉の表面がザラザラしていて猫の舌のようであるところからついた名前とのことであるが、ネコノシタはハマグルマの別称である。ハマグルマは日本に自生するキク科の多年草。浜辺に多く自生しているのでハマ、花の形が車状なのでハマグルマという名前。

 キダチハマグルマ(木立浜車):海岸地植栽・砂防
 キク科の蔓性多年生草本 方言名:ナマン、アマガヤーグサ
 ネコノシタという別称があるハマグルマは、浜辺に自生し、花の形が車状なのでハマグルマという名前。本種は木立性なのでキダチハマグルマとなる。
 木立性と書いたが、先の茎は細く柔らかく、倒れるようにして伸びる。文献に「つる性多年生草本」とあったが、それはこのような性質からそう分類したのだと思われる。が、じつは、私の見た感じでは、ウエデリア(アメリカハマグルマ)が地を這うのに比べ、本種はこんもりと茂った形状。蔓性というより潅木性のようであった。
 私は気付かなかったが、沖縄の海岸で多く見られるとのこと。茎は長く伸びて3〜7mになるが、高さは1m内外。海岸で柔らかな葉を茂らせ、3センチくらいの黄色い花を多数見せてくれる。開花期についての記載は無いが、文献の写真は7月、私のは3月。
 ちなみに、本種の学名はWedelia biflora DC.
 アメリカハマグルマはWedelia trilobata A.S.Hitchc.
 ハマグルマはWedelia prostrata

 花
 記:島乃ガジ丸 2006.5.28  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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