インドゴムカズラ
 私が子供の頃に流行った言葉で、「戦後、女と靴下は強くなった。」というのがあった。戦前、どの程度靴下が弱かったか、女が弱かったかを私は知らないが、現在、私の多くの靴下は2年はもってくれる。女は、男と比べて強いのか弱いのかを言えば、少なくとも私が付き合ってきた数少ない女性たちは、まったく対等な立場であった。
 女と靴下は、私にとってはずっと同じ程度の強さで、特に変化があったということを感じていない。一昔前に比べるとずいぶん強くなったなあ、と感じているものが、じつは別にある。パンツのゴム。3年も使っているとヨレヨレになっていたパンツのゴムが、最近のものは強くなって、3年経っても、4年経ってもほとんど変わらずにいる。
 今、この文章を書いている私の姿は、上半身裸、下はパンツ1枚。このパンツは4年位前に買ったもの。ゴムはほとんど緩んでいない。が、お尻の辺りに穴が開いている。さっき気付いた。3センチほどの長さ。いずれ穴は広がるだろうが、今はまだ使用可能範囲にある。何しろゴムの方は買った時とほとんど変わらないのだから、十分使える。パンツは綿100%の生地で、綿の耐用年数をゴムが上回ったということになるわけだ。

 戦時中、物資不足のときに、インドゴムカズラの樹液でゴムを作っていた時期があったらしい。ゴムの木から作るゴムの代用品なわけだから、おそらく品質は悪かっただろう。帝国軍人たちのパンツのゴムはすぐに緩くなって、腹に力が入らなかったのだろう。で、負けてしまったのだろう、などと一瞬妄想したが、もちろん、そんなこたぁ無い。日本男児たるもの当時はふんどしだったのである。パンツなんて、そんな軟な物、なのだ。

 インドゴムカズラ(印度護謨葛):添景・パーゴラ
 ガガイモ科の常緑蔓植物 原産分布はインド、熱帯アフリカなど 方言名:無し
 ゴムカズラという名は、樹液がゴムの原料となるところからきているようだ。英語名でIndia rubber vineといい、vineはぶどうのことだが、ツル植物も指す。インドのゴムのカズラということで和名と同じ。ラッパ状の花からオオバナアサガオという別名もある。
 潮風に強いので海岸近くの植栽に向き、幹枝がしっかりしているので、半ツル状の添景樹としても使える。青紫色のラッパ状の花を上向きに咲かす。開花期は5月から11月。

 実
 記:島乃ガジ丸 2005.7.18  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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