ハマニンドウ
 三年前の秋、末吉公園を散歩していたら個性的な形をした花を見つけた。個性的な形は図鑑の中に見覚えがあった。だが、すぐには名前が出てこない。
 個性的な形の花は、同じ株の中に白いのと黄色いのとが並んでいた。その写真を撮っているうちに閃いた。もうだいぶ老化が進んでいると思われる私の脳味噌が閃いた。脳味噌の思わぬ活躍に「でかしたぞ、我が脳味噌よ!」と褒めてやる。

 我が脳味噌に閃いた名前はキンギンソウ、「ヤサ、マチゲーネーラン」と思わずウチナーグチ(沖縄口)も出た。ヤサ(そうだ)、マチゲー(間違い)ネーラン(無い)ということ。黄色い花が金で、白い花が銀でキンギンソウ(金銀草)だ。
 ところが、その花の前に名札が立てられてあって、そこにはキンギンソウとは書かれていなかった。何と書かれてあったか、もうすっかり忘れてしまったが、学名の日本語読みでも記されていたのか、聞き覚えも、見覚えも無い名前だった。
 家に帰ってキンギンソウを調べる。キンギンソウは別名としてあり、本名はハマニンドウとある。「いや、でも、名札の名前はこれではなかったような」・・・ということで、二年前の春、末吉公園で見つけた個性的な形をした花は、何者か不明となった。

 今年2月、海洋博公園へ出かけた。そこで、ハマニンドウに出会う。花は確かに図鑑で見て、記憶しているものと一致し、何より、「ハマニンドウです」と、天下の海洋博公園が名札を付けている。「マチゲーネーラン」だ。
 となると、末吉公園で見つけた個性的な形をした花が余計気になる。その時の写真を改めて見ると、海洋博のハマニンドウとそっくりだ。ただ、開花期が違う。じゃあ、いったい何?・・・であるが、もう気にしないことにした。追及は疲れる。

 ハマニンドウ(浜忍冬):フェンス・パーゴラ・防潮
 スイカズラ科の常緑蔓性木本 原産分布は紀伊半島以南、他 方言名:チンヂンソー
 名前の由来、ニンドウ(忍冬)は広辞苑にあり、「冬場を耐え忍ぶ事から」とのこと。海岸近くに自生するニンドウ(スイカズラ)なのでハマニンドウという名前。別名イヌニンドウとも言う。イヌは劣ったものという意がある。ニンドウよりいくらか見栄えが悪いのかもしれない。他にキンギンソウとも言う。初め白色の花が黄色に変化し、黄色と白の花が混在するところから来ている。方言名もチン(金)ヂン(銀)ということ。
 枝は巻きつる型で2〜4mほどまで伸び、先は下垂する。陽光地を好み、成長は速い。自生地がそうである通り潮風に強い。
 花は淡い黄白色から黄色へ変化する。開花期は5月から7月と文献にあるが、海洋博公園のものは2月に咲いていた。末吉公園のものは11月に咲いていた。
 学名は、ハマニンドウ Lonicera affinis
 スイカズラ(ニンドウ) Lonicera japonica

 花
 記:島乃ガジ丸 2011.5.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
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