ユウゲショウ
 待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ こよいは月も出ぬそうな
 若い人では知らない人も多いだろうが、これは「宵待草」という歌。大正ロマンの香りがする歌。その通り大正時代に作られている。情感のあるまったりしたメロディーが唄っていて気持ちいい。人を待っている時などにはたまに口にでる。作詞は竹久夢二。
 竹久夢二は有名な画家で、偉大な画家であるが、私は彼の作品があまり好みでは無い。彼の描く女性は皆、情が深そうで、「待てど暮らせど来ぬ人を」じっくり、長く深く、ひたすら待っていそう。何だか蜘蛛の糸に絡まれていきそうな雰囲気がある。

 歌にある宵待草を、私は知らない。私が参考にしているどの文献にも記載が無いので、沖縄には自生していないかもしれない。宵待草を広辞苑で調べると「オオマツヨイグサの異称」とあった。で、オオマツヨイグサを同じく広辞苑
 「大待宵草:アカバナ科の越年生植物。北アメリカ原産。日没後に開花、翌朝しぼむ。ツキミソウと誤称されることがあるが別種。」
 ツキミソウと誤称される・・・とあるが、この2つは別属。宵待草と同じマツヨイグサ属にはヒルザキツキミソウとユウゲショウがある。そのユウゲショウを広辞苑で引くと「マツヨイグサの異称」、「オシロイバナの異称」などとあった。オシロイバナはオシロイバナ科の多年生草本で、まったく別の植物。

 ユウゲショウ(夕化粧):花壇・切花
 アカバナ科の多年草 アメリカ大陸原産 方言名:無し
 ユウゲショウとはマツヨイグサ(待宵草)やオシロイバナ(白粉花)の異称でもある、などついては上述の通り。ここで紹介するユウゲショウはそのマツヨイグサの仲間で、同じマツヨイグサ属であるヒルザキツキミソウと花の大きさ、形は違うが、全体の雰囲気はよく似ている。夕化粧と名はあるが、ヒルザキツキミソウと同じく昼間咲いている。
 高さ40センチほどに花茎を伸ばし、その先に紫色から薄紅色の小さな花をつける。開花期について文献に記載は無いが、アパートの庭のものは春、3月から5月頃。

 花

 白花
 記:島乃ガジ丸 2005.7.24  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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