ヤエチョウセンアサガオ
 チョウセンアサガオを調べていたら、マンダラゲ(曼荼羅華)というどこかで聞いたような名前に会い、さらに調べると華岡青州という名前に会った。
 華岡青州は少し知っている。若い頃に『華岡青州の妻』という小説を読んで感動している。私の弱小脳味噌が覚えている範囲で述べると、華岡青州は江戸時代の医者、外科手術の際に日本初の麻酔薬を使用した。麻酔が人体に危険を及ぼさない範囲でちゃんと効くかどうかを青州の母や妻が人体実験の献体になった、という話であった。

 青州が用いた麻酔薬がマンダラゲで、マンダラゲはチョウセンアサガオの別称であることは今回調べて分かった。ヤエチョウセンアサガオも同じく毒を持ち、特に種子は猛毒とのことである。身近に毒殺できる植物があると知った。・・・毒殺したい人がいるわけではけして無い。服毒自殺したいと思った時に使えるかなと考えただけ。
 いやいや、服毒自殺したいとは思う日はたぶん来ない。どうせ自殺するなら、私は飛び降り自殺を選びたい。死ぬまでに一度は空を飛んでいる気分を味わいたいので。

 ヤエチョウセンアサガオ(八重朝鮮朝顔):添景
 ナス科の多年草 熱帯アジア原産 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く詳細は不明。ただ、想像は容易につく。ヤエ(八重)は花弁が二重、三重となることから、チョウセン(朝鮮)は、熱帯アジア原産だがおそらく朝鮮を経て渡来したから、アサガオは花の形がアサガオ型だから、だと思われる。
 多年草ではあるが文献にも「低木性多年草」とあり、木本のように見える。名前が似ていて、元は同じDatura属で、今は別属(Brugmansia属)のキダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)やオオバナチョウセンアサガオ(大花朝鮮朝顔)は低木に分類されている。もっとも、この2種は高さ2〜4mまでになる。
 本種の高さは1mほど。花の全体の形はアサガオ型、花弁が二重、三重となる。色は淡紫色、または白色。開花期、広辞苑には秋とあったが、私の写真は4月、文献の写真は7月、沖縄では年中咲いているのかもしれない。
 全草に毒を持つが、葉を乾燥させたものは生薬となり、それを曼陀羅葉という。喘息などに用いるとのこと。果実は球状で表面に棘を密生する。種子は猛毒。
 ちなみに学名、
 ヤエチョウセンアサガオ Datura fastuosa
 キダチチョウセンアサガオ Brugmansia arborea
 オオバナチョウセンアサガオ Brugmansia suaveolens
 記:島乃ガジ丸 2013.1.31  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
inserted by FC2 system