ウナズキヘリコニア
 実物を見なくても、図鑑の写真だけで覚えてしまう植物も多くある。見た目が特異だからである。ウナズキヘリコニアもその一つ。サンニン(ゲットウ)に似た葉、ゴクラクチョウを思わせる花、垂れ下がるその姿は記憶に残る。
 ウナズキヘリコニアの姿は、だからもう、沖縄の植物を紹介している図鑑をよく見るようになった頃、つまり、ガジ丸HPを始めた初期の頃には既に、頭にインプットされていた。その名前もまた覚えやすい。花が肯いているからウナズキ、ヘリコニアは学名で、学名は概ね覚えにくいのだが、ヘルニアで腰が曲がっている人の姿を想像して、しっかり覚えてしまった。しかしながら、以来5年間、出会えずにいた。
 あちこちの公園を散策し、街中の民家の庭を覗いて多くの植物を見ているのに、出会えないウナズキ、ところが、まるで「灯台下暗し」なのであった。私が勤める会社の会長宅にウナズキヘリコニアがあった。会長宅は事務所と同じ敷地内の、駐車場へ行く途中にあって、私は1日4回はその傍を通っている。ただ、通っただけでは気付かない。会長宅の庭に入る枝折戸の傍にあるのだが、その近くに立たないと見えないのであった。
 会長は20年も前に第一線を退いて、以来一緒に仕事をすることも少なく、会長宅の庭に入るということも、ここ10年ばかりは一度も無かった。が、先日、チョウを追いかけてたまたま枝折戸の傍に立った。「あっ、ウナズキだ!」となった。

 ウナズキヘリコニア(肯きへりこにあ):鉢物・花壇
 バショウ科の多年草 熱帯アメリカ原産 方言名:なし
 ヘリコニアは学名(Heliconia rostrata)の属名から。苞葉をつけた花茎が垂れ下がることからウナズキ(肯き)となる。
 文献によってはショウガ科とするものもあったが、多数決によってバショウ科とした。ところが、ネットで確認すると、オウムバナ科となっていた。バショウ科から分かれたとあった。学問は進んでいる。私が参考にしている文献はどれも古い。
 草丈は1mほど。高温多湿を好み、乾燥は嫌う。夏季の直射日光にも弱い。
 葉はバショウの若い葉に似ている。長さ60〜120センチ、幅15〜25センチ。
 葉腋から花茎を出し、数個の苞葉が交互につく。苞葉は根元が朱色、先の方は黄色でよく目立つ。花は苞葉の中にあり目立たない。開花期は6月から10月。

 花
 記:島乃ガジ丸 2009.7.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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