ツユクサ
 今年(2011年)梅雨の明けた6月中旬から、私は早起きをしている。目覚ましは4時半にセットしてあり、だいたい4時45分までには起きている。目覚ましをセットしない日でもだいたい5時半までには目を覚ましている。何だか年寄になった気分だ。
 早起きして、長いこと拝んでいなかった朝日を日常的に見るようになり、「春はあけぼの・・・夏はつとめて・・・」などと枕草子の冒頭なども思い出す。「早起きはオジーになる道でもあるが、風流を感じる人になる道かもしれない」などと思う。

 早朝に畑に着く。畑には野菜の他、果樹や庭木などの樹木も多くある。雑草も多く生えている。それらたくさんある植物は葉をつけている。葉の数はもう天文学的(オーバーか?)な数字になると思われるが、それらの葉にはきっと朝露が載っている。
 木の葉、草の葉の朝露が、朝日の光を浴びて光っている、それはきっと美しく、それを美しいと愛でることは風流ではないか、と思うようになったのは、実はつい最近。朝早く畑に行くようになってから二ヶ月も過ぎた8月中旬のこと。
 そうと気付いてからは早い。さっそく翌朝、畑へ着いて、農作業を始める前に朝露を探す。すぐに見つかる。葉の朝露が、朝日の光を浴びて光っている。ところが、「うーん、これを美しいと思うか?」と思う。風流を解するにはまだ修行が足りないようだ。

 ツユクサはたぶん、梅雨のツユでは無く露のツユ。古の風流人が風流な名前を付けたのであろう。いかにも朝露の似合いそうな風情はある、と無風流の私も思う。

 ツユクサ(露草):下草
 ツユクサ科の一年草 日本全国に分布 方言名:不詳
 名前の由来については資料が無く不明。その昔、ツユクサの葉に光る朝露を見た風流人が、「これは美しい、この草を露草と名付けよう」となったのかもしれない。
 私が参考にしている沖縄の植物を紹介している文献の、そのどれにも本種は記載されていない。ただ一つ、『琉球弧野山の花』にあったが、その写真は奄美のものである。というわけで、沖縄に自生は無いものと思っていた。しかし、今年(2011年)夏、与那覇岳の入口で出会った。元々あったのか、奄美から入りこんだのか不明。沖縄の植物の本に載っていないので方言名も不詳だが、シマツユクサはナンドゥルーと言う。
 畑地や庭、道端などに生える。茎は根元から多く分枝して、茎の所々から根を出して地面を這い広がる。茎の先は斜めに立ち上がり、高さは30センチ程になる。
 花は蝶形をしていて青色、茎の先端に着く。開花期は初夏から秋。若葉は食用になるとのこと。変異が多く、花弁の白いのもあるとのこと。

 花

 倭国産
 記:島乃ガジ丸 2011.8.10  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
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