ツワブキ
 久高島にはツワブキも多くあった。久高島に限らず沖縄のどこででもツワブキはよく見かける。種がどこかから飛んできて自然に生えたりするので雑草のようでもあるが、葉も花もきれいなので、雑草としては扱われない。人も植物もきれいなものは得なのね。
 鹿児島の友人は、「ツワブキは美味しいよね」と言うが、沖縄にはどこにでもあるツワブキなんだが、私はしかし、食ったことが無い。「食べたことないなあ」と応じると、「え、勿体無いなあ。鹿児島では毎年ツワブキを採りに山へ行ったりするよ。」と言う。
 勿体無いのかどうか、後日、従姉に訊いてみた。従姉は福岡、熊本、長崎と九州にも永く住んでいたことがあって、「そうねえ、向こうにはあったわねえ。でも、沖縄のはアクが強いらしくて、あまり食べないみたいだねえ。」とのことだった。
 調べると、九州に自生しているものはツワブキの変種のオオツワブキで、鹿児島の友人が食べているのはたぶんこれ。沖縄に自生しているものもまたツワブキの変種で、これはリュウキュウツワブキと言う。ツワブキは南の強烈な陽射しに当たって、「いったい、何だって、こんなに熱いんだ!」と腹を立てて、きっとアクが強くなったのであろう。

 ツワブキ(石蕗):草本
 キク科の多年草 分布は関東以南、台湾 方言名:チーパッパー
 半日陰の適潤地でよく生育するとあるが、丈夫な植物で、直射日光の下でも問題ない。ただし、植え付けてから暫くは潅水に気をつける。葉が大きいだけに乾燥しやすい。
高さ60cmほどにまで花茎を伸ばし、上部に黄色の花をたくさんつける。幅の広い緑の葉に鮮やかな黄色が映え、きれい。種はタンポポのような綿状で、春、フワフワと風に乗って飛んで行き、あちこちから芽を出す。辺り一面ツワブキだらけなんてこともある。よく見かけるナンクルミー(自然発生)する植物の一つ。花期は12月から2月。
 煮物として出されるフキとは別属だが、ツワブキもその葉茎を食用にするということについては、上述の通り。沖縄では飲み屋さんでもツワブキ料理を見かけない。
 記:島乃ガジ丸 2004.12.24  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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