タマスダレ
 お正月のテレビ番組では寄席中継というのをやる。“笑う角には福来る”で、日本全国の国民に笑っていただこうという趣旨だろう。私もたまに観る。
 演芸で、南京玉簾というのがあって、「あ、さて、あ、さて、さてはナンキンタマスダレ」などと口上を述べながら、玉簾なるものでいろんな形を作っていく。子供の頃、その口上の「ナンキンタマスダレ」の「キンタマ」が気になって、それだけで笑っていた。
 ナンキンタマスダレはもちろん、「ナン(南)、キンタマ(金玉)、スダレ(簾)」と切るのでは無い。南の男の金玉が簾のように垂れ下がっているわけでは無いのである。ナンキンタマスダレは「ナンキン(南京)、タマスダレ(玉簾)」と切る。南京は中国の都市名、玉簾は数珠のように玉が連なった簾のことだが、じつは、タマスダレは珠簾とも書き、簾の美称でもある(広辞苑)らしい。ここではたぶん、その意味であろう。
 人間のオスは、17、8歳をピークにして、その後はどんどん衰えていく。1日5、6回でも平気だったのが、歳取るにつれて1日1回がやっとになり、さらには1週間に1回が限度となり、そして、ついにはまったく(相手によるのだが)役に立たなくなる。こうなってしまった人間のオスのことをガジ丸は、タマスタレ(漢字で書くと玉廃れ)と呼んでいる。人間のオスの多くはしかし、古女房に「役立たず」と罵られても、心の中では実は、「お前以外が相手なら十分役に立つのだ」と呟いていたりもするのだ。

 タマスダレ(玉簾):花壇・縁取
 ヒガンバナ科の多年草 原産は南アメリカ、ペルー 方言名:無し
 花壇の縁取りによく利用される球根植物。花の部分が玉で、葉が並んだ様子を簾とし、タマスダレという名がついたとある。長さ20cmほどの花茎を多く出し、その頭部に白い花を付ける。花は空に向かって咲くので、群生させると白い絨毯のようになる。花期は7月から10月。日当たりが良い場所を好むとあるが、高木の葉陰になるような半日陰の場所でも生育し、花を咲かすので、庭作り、花壇作りのさいは重宝する植物である。
 その花が咲くと雨が降ると言われ、ウチナーグチでアミフィバナ(雨降り花)と呼ばれる。タマスダレよりも大きな花をつけるサフランモドキは、同じヒガンバナ科タマスダレ属、・・・と文献にあるが、私は見たことが無い。今度探してみよう。

 白花

 黄花

 桃色花
 記:島乃ガジ丸 2004.12.24  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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