ショウキズイセン |
先月10月の模合で、メンバーの一人Mから「倉庫を建てようとしたら、それには建築申請が必要だと聞いた。申請には建物の図面も必要らしい。その図面を書いてくれないか?」と依頼があった。建物の外観や間取りを書く程度ならお安いご用である。しかし、建築申請に必要な図面はそんな簡単なものでは無いと建設業に勤めている私は知っている。普通の大人なら、例え建設業に勤めていなくても建物を建てる時は申請が必要だと知っているものだ、と私は思っていたが、知らない人もいたのである。 「どの程度の大きさの建物かによると思うが、建築申請の図面とか書類ってそう簡単では無いぜ、まあ、先ずは現場を見てからだな。」と応じる。 後日、Mが向かえに来て現場を見に行った。見て、「何ともまあ!」と驚いた。2、3年後、6畳ほどの畑小屋を建てようと計画している私は、6畳の広さでさえ建築士の友人Tに相談しなければと思っていたのだが、Mの建てようとしている倉庫は15畳ほどの広さがあり、しかも、既に基礎の部分のコンクリート流し込みの準備まで済んでいた。建築申請もせずにここまで進んでいる。「お前、正気か?」と思った。 その二週間ほど前、金曜日の職場の近くの、民家の庭にショウキズイセンを発見した。名前も知っており、図鑑で写真を見てその姿も知っているが、実物とは初対面。 Mの倉庫建築予定現場を見たその日、家に帰ってから、他にもいくつかの、写真は撮ってあるが記事はまだ書いていない植物があるが、その中からショウキズイセンを選んで、この文を書いた。「お前、正気か?」が頭に残ったせいである。しかし、念のため言っておくが、ショウキズイセンは真っ当な水仙という意味では無い。つまり、正気水仙という意味では無い、・・・が、そう連想してしまった。 ショウキズイセン(鐘馗水仙):花壇・鉢物 ヒガンバナ科の耐寒性多年草 四国以南〜南西諸島、他に分布 方言名:不詳 名前の由来についての資料が無く不明。広辞苑に別名のショウキンランで記載があり、鐘馗蘭と漢字が充てられていた。鍾馗は五月人形に見られる鍾馗様と呼ばれる神様、「疫鬼を退け魔を除くという神」のこと。それが本種とどう関わるかは不明。ズイセンは同じヒガンバナ科に属する水仙のことで、葉の形が良く似ている。別名のショウキランも同様で、蘭は別科のラン科だが、葉の形がよく似ている。 スイセンやランに良く似ていると言われるその葉、線形でヒガンバナ同様、花季前に枯れる。全体の姿、花の形もまたヒガンバナそっくり。花色がヒガンバナの紅赤色に対し、本種は黄色。花茎を伸ばしその先につける。開花期は9月から10月。 草丈は30〜60センチ。陽光を好むが、半日陰でもよく成育する。乾燥地では生育不良となる。暖地のヒガンバナ、黄色のヒガンバナとも言われる。ちなみに学名は、 ショウキズイセン Lycoris traubii Hayward ヒガンバナ Lycoris radiata (L’Her.) Herb. |
記:島乃ガジ丸 2011.11.20 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 |