シャガ
 去年の正月に抱きしめて・・・叔父が可愛い姪を抱きしめる様にである。Hな気分はまったく無い。・・・「これから厳しい世の中に出て、一人前の社会人としてやって行くのだ。頑張ってね。」という思いを込めて抱きしめて以来、会ってもいない、電話もメールもしていないA女は、もうすぐ24歳になる。
 彼女が高校生の頃から何度かデートしている。その頃から彼女はいろんな夢を語っていたが、22歳になった頃から、「バーテンダーの仕事を覚えたい。将来、自分の店を持ちたい。」と自分の夢を明確に語るようになった。今、おそらく、シャカシャカとシェーカーを振りながら、夢の実現に向かって突き進んでいることであろう。

 「シャカシャカとシェーカーを振る」の「シャカシャカ」は、多くの人がバーテンダーがシェーカーを振っている姿を思い浮かべることのできる言葉である。解り易い。言葉とは解り易くあるべきだと、私は思っている。思いを伝える道具なのだから。

 ところが、植物の名前には解り難いものが多くある。今回紹介するシャガもその一つ。シャガという音からは何のイメージも思い浮かばない。見た目がシャガシャガと表現できるかなと思うのだが、根拠は無い。あるいは、釈迦が訛ったものかとも考える。シャガの花は、釈迦というありがたい名前を頂いてもおかしくはないほどにきれいで、高貴さが感じられる。だが、シャガは釈迦では無いようだ。シャガ、いったい何なんだ?

 シャガ(射干・著莪):花壇
 アヤメ科の常緑多年草 国内では本州から九州に分布 方言名:不詳
 シャガの語源は不明。広辞苑に記載があり、「射干・著莪」という漢字が充てられていたが、それを見ても見当がつかない。花びらの先がギザギザしていて、なおかつヒラヒラもしている。その2つを足してシャガシャガと表現したのかもしれない。これも広辞苑にあったが、漢名は胡蝶花、こっちは「なるほど」と納得できる。
 本州から九州の湿った山林下に群生し、沖縄に自生は無いようである。アヤメの仲間の多くは落葉であるが、日本のアヤメの仲間ではシャガだけが常緑とのこと。
 葉は30〜50センチほどの長さ、剣状で、厚く、照りがある。アヤメの仲間では小型で、花序は高さ30〜60センチ、アヤメを小型にした形の花は白、又は薄紫で、中心部に黄色の斑紋がある。開花期は春と文献にあったが、私が見たのは2月の初め。

 花
 記:島乃ガジ丸 2008.3.21  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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