シクラメン
 子供の頃から青年の頃までは花などに興味が無くて、知っているものといえば、子供時代は仏壇によく供えられていたキク、近所の庭でよく見かけたハイビスカスやブーゲンビリア、野原でよく見かけたスミレ、タンポポ、ユリ、学校の音楽の時間に習った「チューリップ」、「さくら」などの童謡や唱歌から覚えたものなど。青年の頃になると歌謡曲から「コスモス」、「スイートピー」などの存在を知り、覚えた。

 シクラメンは沖縄ではあまり見ない。自生は無いと思う。少なくとも私が青年の頃までは沖縄に自生は無く、鉢物としてもそうポピュラーではなかったと思う。
 シクラメンという植物があることは布施明の歌う「シクラメン・・・」(タイトルをはっきり覚えていない)で知った。「真綿色した」花のようで、「真綿色とはどんな色なんじゃい」と気になった。シクラメンの色形はその頃、おそらくテレビで見ている。
 真綿色とはほぼ白であることを知ったが、大学進学で東京暮らしをするようになると、シクラメンは冬になると頻繁に見られた。当時、吉祥寺駅には花屋さんもあって、その店先に鉢物のシクラメンが並んでいたと記憶している。
 「白ばっかりじゃ無ぇじゃないか」と思ったのも微かに記憶している。

 シクラメン(Cyclamen):鉢物・装飾
 サクラソウ科の多年草 地中海東岸原産 方言名:なし
 名前の由来、資料は無いが、学名の属名Cyclamenからで間違いなかろう。
 広辞苑に別名としてカガリビバナ、また、ブタノマンジュウとあった。カガリビバナは篝火花で、篝火は「夜中の警護または漁獲などの際に、周囲を照らすために焚く火」のことだが、篝火花も広辞苑にあり「シクラメンの和名。花弁のそり返った花の形をたとえたもの」とあった。ならばと、ブタノマンジュウを引くと「豚の饅頭」と表示され、「(英語名 sowbread から)シクラメンのこと」とあった。英和辞典をみるとsowは雌豚のことで、breadはパン、パンでも饅頭型のパンを想像したものと思われる。地下に塊茎を持ち、それを指していると思われる。花は篝火に、塊茎は饅頭に喩えたということになる。
 花の大きさで大輪種、小輪種、形では花弁の縁が波打つもの、八重咲き種、性質で多花種、耐寒性が強い種など色もいろいろでさまざまな多くの品種がある。
 葉は長い柄を持ち、心臓型で、緑の地に白い斑がある。裏面は紅紫色。花は下向きに開き、色は白、紅などで、開花期は概ね11月から3月。
 沖縄では気候が合わないのかあまり見ない。冬期に鉢物として園芸店でよく見かけるだけだが、平和創造の森公園の一角に地植えされているのを見つけた。
 園芸店でよく見かけるものはシクラメン・ペルシカムの園芸品種とのこと。
 記:島乃ガジ丸 2014.3.4  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
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 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
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