セツブンソウ
 去年の4月のある日、従姉の家の庭に珍しい花が咲いているのを見つけた。従姉に訊いたら、クリスマスローズとのことであった。で、クリスマスの頃、この植物を紹介することにして、調べて、記事を書いた。書いた後に、写真の花が本当にクリスマスローズであろうかと、ふと疑問を持って、ネットで検索した写真と見比べる。ネットのクリスマスローズはその名の通り12月に開花し、バラの花に似ている。従姉のクリスマスローズは4月に開花して、バラの花に似ていない。どうやら違うようである。
 後日、従姉に会ってその話をしたら、「いろんな種類があるんじゃないの。あれは確かにクリスマスローズよ。和名ではセツブンソウと言うらしいよ。」とのこと。で、そのセツブンソウを調べる。セツブンソウは4月に花が咲き、従姉のクリスマスローズと同じ。見た目もまた両者はよく似ている。従姉のクリスマスローズはセツブンソウで間違いないようである。クリスマスローズという名の植物は別にあるが、セツブンソウもまた、クリスマスローズという通称を持っているらしいのである。

 クリスマスと名のつく植物を文献で探したら、2つあった。クリスマスローズとクリスマスカクタス。クリスマスカクタスはよく知っている。和名のシャコバサボテンでも知っていて、沖縄でもよく見かける。庭の植物では無く、鉢物としてよく見る。本家クリスマスローズは見たことが無い。その存在もまったく知らなかった。セツブンソウもまったく知らなかったのだが、従姉の庭にあるということは沖縄でも生育するようである。
 なお、クリスマスカクタスの写真は、撮ろうと思えば園芸店に行って撮れるのだが、まだ撮っていない。よって、これは次回(たぶん今年の年末)に紹介しましょう。 

 セツブンソウ(節分草):花壇
 キンポウゲ科の多年草 日本の山地に自生する 方言名:なし
 「早春に咲き出すので、この名がある」と広辞苑にあった。早春の頃は節分の頃ということであろう。節分の旧暦2月3日は、新暦だと概ね3月初旬にあたる。
 従姉が本種を指して「これはクリスマスローズ」と言ったのは、間違いというわけでは無い。セツブンソウは通称として、クリスマスローズとも言うらしいのである。
 「日本の山地の樹陰などに自生」と広辞苑にあったが、参考にしているほとんどの文献に、この植物の記載は無かった。参考文献の多くは主に沖縄の植物を紹介しているものなので、沖縄ではほとんど見かけない植物ということなのかもしれない。
 草丈が10センチくらいと低く、さらに、花は白色で斜め下を向いて咲いている。ではあるが、わりと大きな花なのでまあまあ目立つ。開花期は2月〜5月。
 ちなみに、クリスマスローズ(Christmas rose)は同じキンポウゲ科の多年草で、原産は南ヨーロッパ。12月頃咲き、バラの花にちょっと似ているのでこの名がある。クリスマスローズの学名Helleborus niger、セツブンソウはShibateranthis pinnatifida。

 花
 記:島乃ガジ丸 2007.1.3  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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