ササウチワ
 今回別項で紹介しているオオベニウチワの中で、「それにしても、オオベニウチワとササウチワ、何て良い名前なんであろうと思う。名前からその姿が想像できるでは無いか。アンスリュームやスパティフィラムではこうはいかない。日本語万歳。」なんてことを書いているが、「名前からその姿が想像できるでは無いか」について、もう少し詳しく述べると、その和名を漢字にしてみると良く解る。
 オオベニウチワは大紅団扇、ササウチワは笹団扇、アンスリュームとスパティフィラムは、それぞれそのような見た目をしている。で、日本語万歳となる。
 団扇(うちわ)は、「細い竹を骨とし、紙または絹を張って柄をつけた、あおいで風を起す道具。多くは円形。」(広辞苑)とのこと。似たようなものに扇子(おうぎ)があるが、「あおいで風を起し涼をとる具。」(〃)は団扇と同じだが、「折畳みのできるようにしたもの。」(〃)が違う。団扇は中国で、扇子は日本で発明されたもの。
 団扇(うちわ)というと私は、真っ先に思い浮かぶ言葉がある。左団扇である。「左手で団扇をつかうこと。安楽な暮しの境遇のたとえ。」(〃)である。私の憧れる境遇である。何年か後に、「左団扇商会」という会社を立ち上げたいと思っている程である。

 ササウチワ(笹団扇):鉢物・花壇
 サトイモ科の多年草 コロンビア原産 方言名:なし
 スパティフィラムという名で有名。スパティフィラムは属名のSpathiphyllumから。和名のササウチワは、苞が団扇のような形をしており、葉が笹の葉に似ているから来ているものと思われる。同属別種にオオササウチワがある。草丈が1mほどと高く、苞、葉、全体が本種より大きい。葉は厚く、幅が広くなっている。
学名、ササウチワSpathiphyllum patinii、オオササウチワS.cannnifolium Schott。
 本種の高さは50センチほど。葉は薄く革質で、細長い。その葉が涼しげで、観葉植物として好まれている。白い苞にももちろん、観賞価値がある。開花期は5月〜7月。
 耐寒性は弱い、15度以上を必要とすると文献にあるが、沖縄では露地植えを見ることがある。沖縄の冬も15度未満になるが、ちょっと位は我慢できるのであろう。
 耐陰性があり、真夏の直射日光は嫌う。陰地の花壇に向く。
 記:島乃ガジ丸 2007.3.20  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
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