サイヨウシャジン
 先月、座間味島を散策した際、路傍に可愛らしい紫色の花を多く見た。写真を撮って後日調べると、参考文献のいくつかに載っていて、すぐに判明した。サイヨウシャシン。
 「採用写真?・・・確かにこの写真はガジ丸HPに採用されるであろうが・・・」と思いつつ、よく見るとサイヨウシャジンと、シでは無くジ、痔のジ。
 「サイヨウシャジンか、面白い名前だ。」と思ったが、どの参考文献にも名前の由来が載っていない。で、勝手に推理する。広辞苑を引くと、サイヨウは細腰という言葉があった。「女のこしつきの細くしなやかなこと。美人の形容に用いる」とのこと。
 「ほほう、美人ってか。ならば、細腰射人とするか。」美人は男の心を射抜くという意味だ。これは言葉として正しいが、植物のサイヨウシャジンが男の心を射抜くとは思われない。可憐な花はむしろ、女の心を掴むに違いない。で、射人は却下。再び広辞苑を引くと、沙参があった。これは本種の亜種であるツリガネニンジンを指す。で、採用。

 本題とは関係ないが、細腰はまた「やなぎごし」のことも言う。「やなぎごし」は「細くてしなやかな腰つき」(広辞苑)のこと。友人の三段腹E子や三重顎K子には全く縁の無い言葉であるが、私の周りに「やなぎごし」にピッタリの女性はいる。
 甥の女房の才媛M子、彼女は170センチ近い身長であるが腰は細い。見るたびにその腰に手を回したい衝動に駆られる。そして、ついこのあいだ会ったばかりの美女S女史、彼女もまた、紛れもない細腰だ。その腰も、手を回したい衝動に駆られる。腰も魅力的な二人だが、顔も大変美しい。彼女達は、細腰射人と形容しても間違いない。

 サイヨウシャジン(細腰沙参):添景
 キキョウ科の多年草 中国地方以南、南西諸島に分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く不明だが、シャジンは沙参に間違いない。沙参は「ツリガネニンジンの漢名」(広辞苑)で、ツリガネニンジンはサイヨウシャジンの変種。変種に先に名前があって、基本種はそれから名前を頂いていることになる。
 サイヨウを細腰としたが、これもたぶん当っていると思う。細腰とは「女のこしつきの細くしなやかなこと。美人の形容に用いる」(広辞苑)のことで、細長い花茎、または、細長い葉を細い腰に喩えたか、花が可憐なことから美人としたかだ。
 高さは1mほどになる。私の住む近辺(那覇市周辺)では見たこと無い。可愛い花なので咲いていれば気付くはず。座間味島では道端に多くあった。
 葉は概ね輪生し、根元の方は楕円形だが、先の方は細長い。花茎も細長く伸び、その先に淡紫色〜青紫色の、釣鐘形をした花を数個つける。開花期は3月から12月で、3月から6月と9月から11月の2回の盛りがある。根は生薬となる。

 花
 記:島乃ガジ丸 2010.10.11  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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